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クローズアップ
バングラデシュでは多くの人がイスラム教を信仰しているが、ミャンマー国境にほど近いチッタゴン丘陵では、古くから モンゴロイド系の先住民(ジュマ)が焼き畑農業を中心とした生活を営み、多数民族であるベンガル人とは異なった 文化を持ち、広く仏教が浸透している。しかし、一九七一年にパキスタンから独立して以来進められるチッタゴン 丘陵への入植政策以後、ジュマと入植ベンガル人との間で紛争状態が続いており、仏教存続の危機にさらされている。 そこで十一月に二度目の来日を果たしたスマナランカ大僧正にバングラデシュにおける宗教事情と、非暴力による 紛争解決の実践について聞いた。
スマナランカ大僧正
まず非暴力が大原則
平成17年(2005年)12月15日掲載
バングラデシュ僧 スマナランカ大僧正に聞く
スマナランカ氏=一九五五年、バングラデシュ南東部のチッタゴン丘陵ランガマティ県生まれ。 チッタゴン大学に入学後出家し、ミャンマー(旧ビルマ)で五年間、仏教を学ぶ。帰国後「ロンガドゥの虐殺事件」と 土地の収奪を目撃し、非暴力による紛争解決を目指す。一九八三年、教育NGOであるパルバッチャ・ブッダ・ ミッション(丘陵仏教奉仕会団、略称=PBM)を設立。パルバッチャ・ビクサンガ(比丘僧伽)・バングラデシュ (丘陵仏教協会、略称=PBSB)議長。二〇〇三年、印度コルカタで人権賞を授与される。
■来日の目的
山岳地帯のチッタゴン丘陵では、バングラデシュ政府が進める入植政策によって、先住民族のジュマと ベンガル人入植者との間で武力紛争が続いています。八年前に和平協定が結ばれましたが、今なお不当な土地の 収奪事件が多発しており、実際の平和とはほど遠い状況が続いています。争いはもっともっと増えていくのではないかと 危惧しています。
日本の方々とは同じ仏教徒として宗教的に親しい関係であり、訪問を通して私たち仏教徒が置かれている状況を 広く知っていただくとともに、平和をつくるためにみなさんに協力を訴え、平和の中に暮らせるように、日本の支援を 期待しています。
■紛争とPBMの活動について
二十年以上前から紛争被害を受けた子どもたちを受け入れています。最初のころは十人ほどで 食事を共にして土間で寝る生活でしたが、活動が認識された現在では、六歳から十八歳までの百六十五人が 学んでいます。朝と夕方にそれぞれ一回ずつ祈りの時間を設け、メディテーションを行ない、仏教の講義を随時 持っています。
■仏教の置かれる状況と仏教寺院の復興
バングラデシュには大小合わせて二千以上の寺院があります。そのうちのほとんどが丘陵地域に集中し、 丘陵仏教協会に所属しています。
寺院はジュマの人々にとって心のよりどころであり、重要な場所です。仏教そのものが否定されているわけでは ありませんが、仏教行事を行なう時に軍の許可が必要だったり、事実上制限されています。
また二〇〇三年の「マハルチャリ事件」では大きな被害が出ました。入植者ベンガル人(イスラム教徒)によって 十四の村で四百軒の家が焼かれ、四つのお寺が破壊されました。そのうち二つは完全に破壊されました。中には 仏像をひっくり返して壊すという行為がありました。
この寺院の復興は、ジュマ・ネット(下澤嶽代表)をはじめ日本の方々のご寄付により、政府の許可が下りていない 状態ではありますが、現実味を帯びています。実現すればバングラデシュにおいて、日本の援助で建つ初めての 寺院となります。ゆくゆくは日本とバングラデシュの仏教交流の窓口となることを望んでいます。
■紛争解決へ向けて
あらゆる反対運動が展開されるにしても、まず非暴力であることが大原則です。非常に怒って 危害を加えようとした人にでも、暴力を使うのではなく、話し合いで理解させることが重要です。また仏教徒でも イスラム教徒でもどの宗教を持っていても一つの国の市民であることは事実です。相手に怨(うら)みを持つのではなく、 一つの共同体として共存する姿勢が求められます。
ダンマパダ(法句経)の一節に「怨みに報いるに怨みを以てしたならば、ついに怨みの息むことがない。怨みをすてて こそ息む」とありますが、この言葉は仏教徒だけのものでもなく、これこそ真実であると強く信じる私は、非暴力による 紛争解決に向けて実践したいと思います。
支援の問い合わせはジュマ・ネット=電話〇三(三八三一)一〇七二=まで。
ホームページ=http://jumma.sytes.net/

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このページの最終更新日2005/12/17