|
<<ホーム>> |

![]()
|
昨年度に志願者が百三十万人を超えた¨漢検¨を中心に、
順調な事業展開を見せる財団法人日本漢字能力検定協会 (本部・京都市)。
理事長として多方面での活躍を見せている大久保昇氏は昨年四月、
新たにNPO(Non Profit Organization・非営利活動法人) ジャパンウェイ
(本部・京都市) を設立し、
日本という土壌に社会貢献の根をおろそうと努力している。
これまでに 『個人・企業の社会貢献』
『個人・企業の社会貢献とマッチングギフト〜NPOが日本を変える』
の書籍二冊を上梓し社会貢献の啓蒙普及を続ける大久保氏は、
アメリカ社会におけるNPOの存在と影響力の大きさを自らの目で確かめた時
「混迷する日本経済の出口は、 NPOにある」
と確信したと言う。
NPOが社会貢献を通して日本社会で担っていく役割を、
先導役を務める氏の視点から眺めてみると……。 5月13日の中外日報紙面から |
| ジャパンウェイ設立の原点は。
大久保 マッチングギフト(Matching Gift、 以下MG) という制度を知り、 サンフランシスコ在住の山田治氏 (カリフォルニア銀行会長兼頭取、 当時) に教えを請いました。 その時に、 「アメリカの大多数の企業が導入している。 やっていないところは優秀な人材が来ないよ」 と聞き、 とても興味を持ちました。 それで実情視察にアメリカへ飛んだ。 大久保 一昨年にリンカーンセンターやAT&T、 アメリカソニーなど十三の企業、 NPOを訪問しました。 最初はMGのことをいろいろと尋ねていたんですが、 そのうちMGを含めて広く社会貢献 (公益慈善事業) について調べてみた。 すると驚いたことに、 NPOが動かす社会貢献の総額は、 年間で約二十兆円 (アメリカの国家予算の約一割) もあったんです。 大きな金額です。 大久保 日本の人口はアメリカの約半分ですから、 単純に換算して十兆円。 それだけのお金が動くと、 社会的にも影響力が大きい。 それに日本は税金で何でもやりますが、 アメリカは国や地方政府ができないすき間をNPOが埋めて、 社会がうまく機能している。 これを日本にも根付かせたいと、 帰国してすぐにジャパンウェイをたちあげることにしました。 経済企画庁の認証から一年がたちました。 大久保 まずはMG、 そして社会貢献の啓蒙普及です。 本の発刊や講演会もその一つ。 日本でも大手企業が文化支援や環境保護、 地域共生などの社会貢献をして、 MGも一部で導入されているのですが、 アメリカとは (規模が) 比較にならない。 それと日本在住外国人の日本語教育、 文化や芸術に触れる情操教育による青少年育成などの事業もすすめています。 人道的な救援はもちろん、 社会貢献の信頼ある中間媒体となることも重要です。 |
NPOのネットワークや行政、
企業とのつながりは。 大久保 それも啓蒙の一つですね。 企業や他のNPOと協力、 切磋琢磨し、 行政とも互いに認めあっていくことが必要です。 NPOは行政、 企業とともに社会を構成する第三セクター (従来の半官半民とは異なる) として、 日本を変えていく存在です。 不安もありますが、 期待は大きい。 今はまだ、 種まきの段階ですか。 大久保 そうですね。 これには寄付金がほとんど税控除の対象になっていない税制の問題もあるんです。 アメリカの個人寄付の一例をあげると、 百ドル寄付すると五十ドルは税控除される。 だからMGだと、 実質は寄付額の四倍が社会貢献に生かされることになります。 税制の整備は、 社会貢献に不可欠です。 ほかに違いは。 大久保 アメリカは企業も個人も、 社会貢献をやっているかどうかが評価の大きな尺度です。 それと正しい貢献を正当に評価をしようという意識が定着しています。 日本にもその考え方を定着させたい。 社会貢献と同じくらい、 その評価も大切だと。 大久保 そうしないと日本の経済はこのままです。 もし十兆円のお金が自然に動いていれば、 おのずと活性化してきます。 日本人が勘違いしている一つは、 アメリカは消費性向が高くて貯蓄率が低いと思っていること。 一面は事実ですが、 消費の中には社会貢献の費用も含まれているんですよ。 だからこそ、 お金が動いているのです。 少し話がそれますが、 IT(Information Technology、 情報技術)の分野でアメリカと追う日本の差はさらに広がろうとしています。 その背景には十数年前からNPOが学校にパソコンを寄付して、 そこで学んだ子どもたちが現在のITを支えているアメリカの現状があります。 社会貢献 (の成果) が国を豊かにし、 個人を幸せにしました。 |
日本でも同じことができますか。
大久保 ニューヨークのセントラル・パークもメトロポリタン美術館も、 NPOが運営しています。 「アメリカ政府の仕事は、 国防と外交、 それと若干の税収」 とよく言いますが、 この三つ以外はほかに任せる発想なんです。 日本も政府が税金とって何でも自分たちでやろうという発想はもう古い。 できないことは、 NPOに任せればいい。 社会貢献は宗教界も担っていい役割ですね。 大久保 今は、 宗教界から (社会に) 語りかけ、 働きかけることが少ないのではないでしょうか。 社会貢献はもちろん、 経済との絡みがあっていい。 西暦一三〇〇年にバチカンのローマ教皇ボニファティウス八世が初めて聖年を宣言して、 各地から信徒が集まった時、 結果的にローマもその巡礼道に沿った町も経済が活性化しました。 日本の宗教界も、 もっと経済への波及効果が大きくなれば、 おのずから発言も増えてきます。 お金の動きを良くすることも、 これからの宗教活動に必要かもしれません。 そうなれば、 大きな転換期となります。 大久保 ある意味で革命ですよ。 日本全体が、 今までのやり方だけではどうにもならないところまで来ているんじゃないですか。 (聞き手=京都総本社・清水章弘) ▽NPO法 (特定非営利活動促進法)
=ボランティア活動をはじめ、
市民の自由な社会貢献として特定非営利活動を促進し、
公益の増進に寄与することを目的に平成十年十二月に施行。
四月二十八日現在で、 経済企画庁が百四十四団体、
各都道府県が千七百二十五団体をNPOとして認証している。 |