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鷹司誓玉法主

平成19年(2007年)6月2日7面

大遠忌へ境内整備進む善光寺大本願の   鷹司誓玉法主に聞く
   平成二十三年に迎える宗祖法然上人八百年大遠忌に向けて、長野市の浄土宗大本山善光寺大本願では境内整備の一環として、老朽化した明照殿の保存改修工事など慶讃事業が進められている。また、今年は善光寺本堂が再建されて三百年目で、地域とともに各種記念事業を展開している。節目に当たって、これまでに乳児院や特別養護老人ホームなどを営み、社会や地域と接してきた善光寺大本願の鷹司誓玉法主に、世相に寄せる思いや大遠忌慶讃事業について聞いた。 (聞き手=新野和暢)


■今年は善光寺本堂再建三百年に当たりますね。
鷹司本堂再建から三百年間は、いろいろなことがありました。一番大きなのは江戸末期、弘化四年の地震で大きな被害が出たことです。御開帳の最中で、あちこちからお参りに来た方々が被害を受けました。そのため、本堂横の鐘撞堂のそばに地震塚があり、毎年お盆のころに供養しています。
   次の大きな波は明治維新でした。その時に、お寺を守り抜いてくれたのが四代前の大本願百十七世、伏見宮誓円尼公様でございます。この方が明治天皇の伯母様に当たるので、直接京都にいらしていろいろと交渉してくださりました。
■戦争もありましたね。
鷹司世界大戦の敗戦で、お寺の経済基盤もすっかり失い、世の中の方々の思想、信仰心も変わってまいりました。一人ひとりの信教の自由や人権というものが言われ、宗教に対する信仰心や、心のよりどころが失われてしまった感じがします。急速に高齢化が進み、信者数も減っているようです。その代わりに若い力もあり、町の方たちが一生懸命復興に努めてくださり、今回もこの三百年記念という事業を盛り上げてくれることを、ありがたいと思っています。
■高齢化社会に際して、これからの寺院の方向性については。
鷹司福祉事業として終戦時期から乳児院を、十六年ほど前から特別養護老人ホームを営んでおります。近年、グループホームも行なっております。
■高齢者だけでなく、赤ちゃんポストなど子どもを取り巻く環境も社会問題となっていますね。
鷹司せっかく生まれた赤ちゃんを、自分の子でありながら邪魔にしたり虐待したりということは、本当に悲しいと思いますね。
■原因はどこにあるとお考えですか。
鷹司結局、命の重さや尊さを認識していない方が多いのではないでしょうか。乳児院ができた当初は、それこそやむにやまれない家庭の事情、経済的なことやら、それこそお気の毒な事情で子どもさんをお預けになったということがあったようです。しかし、今はそのような理由ではなく、親の勝手で子どもを邪魔にするのは、悲しいことだと思います。あまりにも享楽的といいますか、自由主義が行き過ぎて、自分の勝手を押し通す人も若い人の中に多いと聞きますね。

■自由主義と仏教の考え方と違いがあるのですか。
鷹司仏教では人間だけではなくあらゆるものの命を大切にし、生きる権利を大切にしますが、今の若い方の主張する自由は、単なる欲望に基づく自己主張ではないでしょうか。戦争中に抑圧されていた思想の自由化が一挙に解放された戦後間もないころ、「青い山脈」という青春映画が評判になりました。その中に「自由の裏には責任と義務がある」とのせりふがあり、大いに啓発された覚えがあります。
■法然上人八百年遠忌を記念して明照殿の保存改修工事が行なわれていますね。
鷹司慶讃の意味で、本当はもう少し広い建物になると良かったのですけれど、思うようにいかないみたいです。これまでの建物は敷居が高いという印象を与えていたようでございますから、それを低くしたいと思って。靴を脱がず、気軽に入れるようになればいいなと思っております。
■敷居を低くするというのは、これからの寺院にとって必要なことでしょうか。
鷹司そうでございましょうね。物理的に高いとか低いとかではなく、気分の上でね。気持よくすっと入ってこられるような環境であれば良いと思います。
■僧侶と信者さんとの距離については。
鷹司それは僧侶、一人ひとりによるんじゃないでしょうかしらね。
■ただ敷居を低くすればいいというものじゃない、ということですね。
鷹司一概に言えませんが、伝統的なものがありますから急激に変わるわけにはいかないと思います。

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このページの最終更新日 2007年7月20日