■真宗文化センター設立の目的は。
今井親鸞は約八百年前に生きた方ですが、その教えは現代社会にも重要な意味があると考えます。それには現代という視点から、あらためて親鸞を問い直し、過去の歴史を検討し直すことが必要です。多様な視点から親鸞の実情に迫ることを目的として、今年四月に同センターが発足しました。
■親鸞聖人七百五十回遠忌に向けても、かねて発言されていますね。
今井今井 昭和三十六年ごろに各派本山で執り行なわれた七百回遠忌にあたり、教団内外で歴史的と称する親鸞研究が大きく進みました。それは、唯物史観と重ね合わせた親鸞像でした。それ以降、荒野に独り立つ親鸞のイメージが定着しましたが、そのイメージは考え直すべきであると思います。
また、雲の上の存在としての親鸞ではなく、親鸞と家族関係という視点から思想や文化をあらためて見ることが、七百五十回遠忌に求められていると思います。
■新たな親鸞像の構築ですか。
今井五十年前よりも歴史研究は進み、妻・恵信尼などの家族や、当時の社会状況も詳細になってきました。それらの研究成果をもとに、家族的視点を加えるのです。家族がいてこそ親鸞思想が完成したことを考慮しながら、親鸞思想の背景に迫りたい。時代や思想が生まれた背景を知ることで、より納得した親鸞像を構築できると思います。
■機関誌『親鸞の水脈』の名前に込められた思いは。
今井途絶えることなく現代に伝わり、将来的にもつながっていくべき親鸞の教えを水脈と表現しました。専門的な研究だけに偏らず、講演録なども掲載することで質が高く、かつ読みやすいものにしたい。若手研究者の発言も積極的に取り上げ育成し、いじめや自殺問題など現代的課題の解決方法も探りたいと考えています。
■現代に求められている親鸞の思想とは。
今井大学で教えていた際のアンケートで、「報謝」が現代に通じる親鸞の教えであると、多くの学生が答えた経験があります。感謝を忘れがちな現代社会で、親鸞が指摘する報恩謝徳は重要な意味を持っています。この面からも親鸞思想は尊重されるべきであろうと思います。
■今後の活動の展望は。
今井現在は四月と十月発行の機関誌に力を注いでいます。このほか、親鸞に関する資料の収集と公開、各種講演会を行ないたいと考えています。社会へ向かって親鸞の教えを伝えたいと思います。
真宗文化センター(東京都港区西新橋二ノ二三ノ一)は、電話〇三(三四三四)〇八〇八。年会費は千二百円(機関誌購読料込み)。