■入仏十五周年法要と帰敬式を終えられた感想は。
光真門主一年おきぐらいに光淳新門が来て帰敬式を行なっていますが、私がこちらで帰敬式をするのは初めてであり、ヨーロッパに公式訪問すること自体が初めてです。どういう方が帰敬式を受けられるのか知りませんでしたので、こちらで仏教に触れて、帰敬式を受けられるようになられたということは、とてもうれしいことです。不思議に全部男の方ばかりでしたね。日本ではだいたい女性の方が多いんですが、これはヨーロッパの特徴かもしれませんね。
■仏教伝道協会の創始者の故・沼田惠範氏によるドイツ「惠光」の建立発願の意義については。
門主画期的だし、ほかの人にまねのできない素晴らしいことをしてくださったとうれしく思っています。浄土真宗が中心にはなっていますが、やはり、広い立場でいろんな仏教に触れるきっかけになっており、貴重なお寺だと思っています。
■「前夜祭」では、「惠光」で学ぶ生徒による日本舞踊も披露されました。
門主日本舞踊はほかにも学べる場所があるかもしれませんので、その一つになるかと思いますが、やはり、日本文化にはいろんなものがあります。目に見えて良く分かる、あるいはこちらの方が体を使って体験されることのきっかけになることは良いことだと思いました。
私自身は、踊りもしなければ日本でもあまり見ないので、貴重な機会になりました。
■こちらでは、日本舞踊を通して礼儀作法を教えてもらえると、評判になっているそうです。
門主そうですか。日本でもそういう必要があるかもしれませんね。
■先ごろ出版された『世のなか安穏なれ現代社会と仏教』が目指す「世の中」には、もちろん日本だけでなく諸外国も入っていることと思いますが、ヨーロッパで親鸞聖人の教えを伝えるにあたって、ポイントはありますか。
門主凡夫の自覚と言いますか、人間が有限なものであるという自覚。善意とか正義とかいうものも全く意味がないわけではないのですが、それだけだとかえって過ちを犯す恐れがあるという方面から、仏教、浄土真宗に触れていただきたいと思うのです。
しかし、いきなりそれを言うとなかなか受け入れられないことがあるかもしれません。単に人間に寿命があるだけではなくて、物事の考えそのものにも限界があるということをわきまえ、踏まえて、命あるものを支えていこうということが大事だと思っております。
■先ほどの「ご親教」では在家について強調されていましたね。
門主そうですね。仏教全体のイメージとして出家するというのが普通に受け取られる姿で、それはそれで良いと思います。しかし浄土真宗の特徴は違う所にあることをお伝え申したのです。
■伝道協会の活動に賛同する諸宗教者三十四人からなる訪欧団が、バチカンやギリシャ正教に『英訳大蔵経』を寄贈することになっています。他宗教との交流について助言はありますか。
門主仏教伝道協会はいろいろと素晴らしい活動をしていらっしゃるので、私がそれ以上望むことはありません。貴重な仏教伝道活動だと思って期待したり、喜んだりしています。
■教書で「歴史と伝統をもつ他のすぐれた宗教との対話を試みることも必要と考えられます」と述べておられますね。
門主はい。その一つの大きな活動だと思います。
日本の仏教徒の課題は、むしろ他の宗教への理解がまだ充分進んでいないということの問題が大きいと思います。誤解して悪口を言っている恐れがあるのではないでしょうか。