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昨年秋に発生した駒沢大学(東京都世田谷区)の金融投資失敗による巨額損失問題。同大には総額約二百億円もの負債がのしかかり、今後の学校運営にも大きな支障をもたらすのではと心配されている。すでに問題発生当時の大学首脳部は退陣。駒沢大は新体制の下で新たなスタートを切った。しかし問題の総括や負債の返済計画、今後の立て直し策は、果たして万全といえるのだろうか。巨額損失の背景には同大の構造的問題が見え隠れしており、首のすげ替えで解決するものではないと思われる。同大を取り巻く現状を二回にわたりリポートする。
駒沢大では先ごろ、巨額損失問題に関する再調査委員会が組織され、現在関係者への聞き取りなどが行なわれている。調査結果は来月にもまとめられるもようだ。
昨年冬に組織された第一次調査委員会は、元学長の雨宮眞也弁護士ら駒沢大に近い人々でつくられた経緯があり、その調査結果について学内外から疑義が呈されていた。再調査は石井清純新学長の公約の一つであるだけに、学内の注目度も高い。
ただ学内が「再調査歓迎」の一色で染まっているかといえば、必ずしもそうではない。「第一次調査に問題があったならば、そういう無駄な調査をしたことへの謝罪と責任追及が、大学執行部のすべき第一の事なのではないか」「再調査はいいが、そこで目新しい事実が出てこなかった場合どうするのか。誰か責任を取る覚悟はあるのか」。こうした声が教職員の間から聞こえてくるのも事実である。
第一次調査委員会の報告書や本紙の取材などから推測される巨額損失問題の中心人物は、昨年度末に退職した元経理課長である。
元課長は周囲の制止も聞かず、独断で外資系金融機関と契約。理事長の印鑑まで勝手に使用していたとされる。
なぜ一職員にそこまでのことができたのか、また周囲も制止できなかったのか。この点については学内外から多くの疑問の声が上がっている。再調査委員会にはこのあたりの事情を詳細に解明することが期待されている。
そしてこの問題で重要なのが、駒沢大の常任理事会・理事会は、今まで一種の機能不全に陥っていたということだ。宮本延雄前理事長は「経理関係の職員は私の言うことをまったく聞かなかった。理事長でも触れられない聖域になっていた」と証言。また大谷哲夫前総長も「経理はその関係職員でやるものであり、総長といえどほとんど報告は受けていなかった」と明かす。
ただ、その時々の常任理事会・理事会で、経理関係案件の決済が行なわれていたのは事実。宮本・大谷両氏も「はんこをついた責任は認める」と話している。ここで興味深いのは、その後に続く大谷前総長の証言だ。「経理関係の案件については、事務局が出してきたものを信頼してそのままはんこをつく。そういう伝統が、私が理事になる前から存在していた」というのだ。
大谷前総長は副学長、学長、総長を歴任してきた「ミスター駒沢大」ともいえる人物。その大谷前総長が執行部入りする前からそういう「伝統」が存在してきたということは、少なくとも十数年にわたり、駒沢大の経理はほとんどノーチェック状態にあったということになる。
こうした大谷前総長の発言については「無責任すぎる」と学内外からの批判も出ている。しかし同氏個人の責任についてはさておくとしても、このような「無責任体制」がどのように形成されていったのか、解明する必要は大いにあると言わねばなるまい。
(小川寛大)