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神社の社頭で見掛ける女性といえばまずは巫女。最近は女性の神職や宮司も活躍するようになってきたが、巫女と間違われることも少なくない。女性神職とは。巫女とは。また、女性神職が明治期に廃止された理由とは――。新刊の『女性神職の近代』(ぺりかん社=電話〇三・三八一四・八五一五)は、古代から近世・近代の女性神職を史料に基づいて掘り下げた労作。著者の小平美香さんは、東京・ときわ台の天祖神社禰宜を務め、学習院大学非常勤講師でもある。小平さんに「巫女(シャーマン)」ではない女性神職の歴史を解説してもらった。
本書でいう神職の定義は、「『宮中』『神宮』『神社』において神祇祭祀を職掌とする祭祀者」。古代の巫女は神からの託宣を受けるなどシャーマン的な色合いが濃い。そのような神秘的なイメージは現在にも尾を引いている。
しかし実際に神明に奉仕する女性は、いつまでも神秘的な霊力を発揮していたわけではなく、神祇祭祀という面では男性と同じ役割を果たしてきた。小平さんは「男女は役割分担で、協力して祭祀に当たっていたのでは。今の神職とあまり変わらなかったと思います」と語る。
史料を見ると、女性神職の役割は御扉開閉など、神の顕現にかかわる重要なものだったことが分かる。このような女性神職の祖型とみられるのが、天照大御神を天岩屋戸から導き出した天鈿女命(アメノウズメノミコト)。『日本書紀』では天鈿女命が神懸かりだったとするが、『古語拾遺』にはそういった記述はない。
明治になると神社が国家の宗祀となり、公的な位置付けとなった。この時に女性神職が廃止されたのだが、その理由が本書で初めて明らかにされている。
山梨県から出された女性神職の登用伺いに対し、左院法制課は「祠官ハ元男子ノ務ヘキ者」と指摘。もし婦人祠官を許すと「女子ノ戸主ニシテ配偶ノ夫ヲ家族トナスノ端ヲ啓キ風儀ヲ破ルノ基」になる恐れがあると危惧する。つまり女性神職が許されなかったのは、「女性に独立の職掌を与えてはいけない、女性戸主を認めないという当時の女性観、家族観が理由だった。穢れなど宗教的な理由ではなかった」と小平さんは指摘する。