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| 時感断想 − 第4回 |
1、 「おいあくま」(1) 長生き支えた杖ことば |
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私が明治四十年(一九〇七)生まれの老齢者であるせいか、よく長生きの秘訣を問われます。しかし、これといったよい方法があるわけはないのでお答えに困るのです。ただ、私なりにおおまかな一日の生活の時間表を作って、それに従って暮らしているだけです。 それと、たまたまといってもかなり以前ですが、第二次世界大戦直後、住友銀行の頭取を十八年六ヵ月の長きにわたって務めた堀田庄三(ほったしょうぞう)さんの逸話を何かで読んだ影響があります。それは、堀田さんが住友銀行の社員の訓示に、十年一日の如く、「おこるな・いばるな・あせるな・くさるな・まけるな」の五項目を説き続けられたことです。 住友の若い社員達は、堀田さんの訓示を聞くうちに、いつとはなしに五項目の頭文字をつらねた"おいあくま"の愛称で堀田さんを呼ぶようになったそうです。 堀田イズムといわれたシビアな経営方針の一面に、こうしたほほえましい人間形成の標語が生まれたことに私は感銘いたします。それ以来、私はおいあくまを私の心の杖ことばにしています。今こそ年齢の如何を問わず、どなたにも心身の健康管理に"おいあくま"を座右の銘なり、杖ことばにされたら如何でしょう。 「おこる」のは、健康の大敵、「いばる」のは自分の空しさを宣伝するに過ぎません。また「あせる」のは、事故のもとです。「くさる」のは、思い通りに物事が運ばないことから気がめ入って、ふさぎこむ状態ですが、食物の腐敗と同じに心のくさりは自分だけでなく、職場なら同僚や部下にも伝染しますから、くさることはタブーです。 おいあくまの五項目の最後は、「負けるな」です。営業や企業なら、同業者に負けてはならないので勝たなければなりません。 同時に自分の欠点や弱点にも打ち勝って行け、との示唆のあることも明らかです。 堀田庄三さんの"おいあくま"の心は以上だと思いますが、私がいま改めて、おいあくまを取上げるのは、現代という舞台でその必要を感じ、別の角度から学習を思い立ったからです。 |
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