中外ウェブ

自費出版

<<ホーム>>

spacer.gif
spacer.gif (43 バイト)
  時感断想 − 第62回

 1、   人類の可能性        政治的飛躍が必要な時


福井一光

1、人類の可能性
政治的飛躍が必要な時

2、有無を離れる
如来は中によって法を説く

3、母の繰り言
癒えることない戦争の記憶

4、揺らぐ権威性
裁判員制度に膨らむ疑問





<<戻る

   就任早々の鳩山首相が、国連気候変動サミットで、温室効果ガスを二〇二〇年までに一九九〇年比二五%まで削減するという日本の中期目標を表明しました。早速、経済界から、経済活動を停滞させ、景気回復の足かせになるとの批判が起こりました。生理的に発展を望む経済界からすれば、当然のリアクションではあるのでしょう。しかし、この反応の仕方が、実は文明の行く末にとっての最大の躓きの石なのであり、事実、これまでも、知らずの裡に一層マズイ状況を作り出してきたのは、このリアクションの仕方でした。
   文明の発展を謳歌する人類史の存続の危機を指摘したローマクラブの『成長の限界――「人類の危機」レポート』が四十年も前に予言した二十一世紀半ばは、漠然とした未来では疾(と)うになく、大事な孫子が生きるすぐ目の前の現実となりました。そのことを考えれば、首相の発言は、どうせ首相得意の裏づけのない淡い希望の表明だろうというような、皮肉な見方で終わらせてしまうことの出来ない深刻な問題だからです。
   他人を批判すると自分が賢くなった気がするのか、日本ではいつからか政治家の発言といえば揶揄の対象とするのが大流行りですが、政治家のイニシアティヴこそ、善くも悪くも、その時代の営為を一定の目標に向けて方向づける可能性をもつのであり、深刻な人類史の危機を目の前にする時、恐らく最も有効な可能性は、それまでの発展の系列を超越する、その政治的飛躍にあるのだと思います。
   かつて、マルクーゼという思想家が、科学のもつ合理的性格を失わないままで、科学の構想を、これまでの発展の系列とは違った方向につなぐ時、人類は新しい事実に到達することが出来るだろうという趣旨のことを言ったことがありました。なるほど、その通りで、どなたかも言っていました。人類は、飛行機を進化させた結果、月面に到達したのではない、月面に立とうという飛躍が飛行機とは別の乗り物を開発したのだと。

(H22.02.02〜H22.02.23)

  中外日報のホームページに記載されている記事・写真の無断転載を禁じます。
著作権は『中外日報社』に帰属します。Copyright2010,Chugainippoh
このページの最終更新日 2010年03月04日