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  時感断想 − 第66回

 1、   進む緩和ケア        健康に老い、病み、死ぬ


田畑正久

1、進む緩和ケア
健康に老い、病み、死ぬ

2、宗教者の役割
精神的な訴えにどう対応

3、老病死の現実
先送りでなく豊かに受容

4、苦を超える道
科学的合理思考の限界性





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   ある僧侶が「人間は病気が原因で死ぬのではない。人間として生まれたことが死ぬ原因だ」と本音を交えて冗談を言うのを聞いたことがあります。
   これは正論でありますが、現実には、医師は死亡診断書を書くときに死亡原因としての病名を書きます。その記載された死因の統計は国民の保険・医療・福祉に関する行政の重要な基礎資料として役だっています。
   人類は感染症との戦いの時期が長く、昭和二十年代までの死因の一番は感染症でした。その後、薬剤の開発・進展、公衆衛生の進歩や住環境の改善でかなりの感染症は克服可能となりましたが、昨今のウイルス感染症の流行で依然として感染症が大きな部分を占めていることが注目されました。
   感染症の克服によって、死因の一番に躍り出たのが悪性腫瘍(ガンなど)です。ガン治療に対しては根治治療を目指す一方、根治できない患者さんへの緩和ケアが昭和の終わり頃から進められ、保険診療でもガンとエイズに対しての緩和ケアが認められてきました。しかし、緩和ケアが必要なのは決してガンやエイズだけではなかったのです。
   今春、英国の緩和ケア関連の学会に参加された人の報告で「緩和ケアを従来のガンだけでなく非悪性疾患へ広げよう」という動向が目立ったと書かれていました。これは医療界の大きな変化の動向だと思われます。
   治療という概念は「老病死は本来の『生(せい)』の姿ではない。元気で生き生きした健康な生に戻す」という不老長寿が目標だったのです。寿命の限界が見えてくるようになり、「良き死」をも考えて行こうという動向だからです。
   健康の定義にスピリチュアルな要素が加われば、スピリチュアルな素養を身につける者は、「健康に老い、健康に病み、健康に死ぬ」と言える世界が展開します。仏教の智慧の世界が人類に認知される時代を迎えようとしています。

(H22.06.08〜H22.06.29)

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このページの最終更新日 2010年06月30日