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信教の自由踏まえた政治と宗教の関係を

2009年9月1日付 中外日報(社説)

衆議院議員選挙は、戦後日本の国家体制の主軸を担ってきた自由民主党が大敗し、これまで十年間にわたり政府・与党の側にいた自公連立政権が崩壊して、新たに勢力を伸ばした民主党が政権政党に取って代わるという大きな体制変革をもたらした。

民主党を主軸とした新政権のもとで、どのような国づくりが進むのか、多くの国民は期待と不安のまなざしで見守っているというのが正直なところであろう。私たちも、新しい政権のもとで宗教政策にどんな影響が出てくるのかを注意深く見極めたいと思う。

わが国の戦後六十四年は、焼け跡から経済再建を果たし、自立した国民国家として国際社会へ歩を進める力強い歴史だった。しかし、半世紀を過ぎて世代交代が進むうちに、自由と民主主義が成熟度を増す一方で、国の仕組みや社会文化のあり方に、さまざまな矛盾や問題が見られるようになったのも現実である。

そうした中で、国民が体制変革に求めたものは何だったのか。一人一人がより主体的な意思を持って政治に対峙し、政権選択の一票を投じた結果が、大きな変化のうねりを起こしたと考えられる。

ここであらためて、創価学会を支持母体とする公明党が政権与党の座にあった十年間を宗教と政治の関係軸として問い直し、宗教界にとってどんな意味を持っていたかを検証することは、これから始まる新しい政権・政府がどういうスタンスで「宗教」に対応するのかを見極める上でも重要な意味がある。

公明党は平成十一年十月、単独過半数を維持できなくなった自民党・小渕内閣の要請を受けて連立政権に参画した。以来、森内閣、小泉内閣、安倍内閣、福田内閣、麻生内閣と継続して政権の一翼を担ってきた。目まぐるしい総理総裁の交代劇の裏で、公明党は内閣の命運を左右する政治力を着々と身に付けたといわれている。

しかしこれには、今から十四年前の平成七年に自民党政権が宗教法人法の改定を断行するという前段があった。当時、自民党にとって公明党・創価学会は、選挙時に巨大な集票力を持つ脅威として存在していた。宗教法人法の改定には、強大化する宗教勢力に対する政治的思惑が働いていたとみられている。

オウム真理教のサリン事件で宗教教団への不信感や社会不安が膨張し、宗教法人への逆風が吹き荒れる中で法案は成立した。この時、創価学会は、伝統教団や新宗教とも積極的に連携し、宗教法人に対する政治的規制の動きを強く批判し行動した。公明党が自民党と連立を組み、政権与党の座を獲得するのはその四年後のことである。

こうした経緯を振り返ってみても、政治と宗教の関係は、いつも緊張と依存の間で揺れているように見える。宗教法人法の改定以後、宗教法人への激しいバッシングが見られなくなった背景に、公明党が与党になった政治的事情を読み取る専門家もいる。

本紙アンケートでは、宗教教団の政治参加について、自由民主党は「積極的な政治参加」を肯定し、公明党は「自由」とした。民主党は「政教分離の厳格な規定を設けるべき」、社会民主党は「教団まるごとが特定政党を支持することは好ましくない」、日本共産党は「特定政党や特定候補者の支持は信者の政党支持・政治活動の自由を侵害する」との考えを示している。

憲法に明記する信教の自由・政教分離の原則は、政治による宗教への規制や統制、介入、布教などを禁じるものであり、政治が個人の信教の自由を脅かさないためのものであることを確認しておく必要がある。政権交代によって、政治的理由で宗教への対応がその都度変わったり、宗教が政治に翻弄されるようであってはならない。