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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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"想定外"の波紋を広げた「レベル7」

2011年4月28日付 中外日報(社説)

「役所の出張で台北へ行きました。空港では日本からの乗客は別のゲートに並び、ガイガーカウンターの検査を受けました」と大阪府内の公務員。「私の家にしばらく滞在したイタリアの音楽家夫妻は、ミラノの空港に着いた時、放射能を調べられたそうです」と広島在住の女性詩人。

京都新聞のコラムでは、東日本大震災発生後、外国人演奏家の来日公演予定の9割がキャンセルになった。キリスト教界の情報ではごく一部ではあるが、外国人宣教師の中に帰国を検討する動きがあるらしい。本国の教団も「帰っておいで」の姿勢だそうだ。日本全国の空に、放射能が満ち満ちていると感じるのか。

だが、外国人を批判してばかりはいられない。福島県からの転校生を受け入れた小学校などで、転校生に触れると放射能がうつるとの騒ぎが起こったことが、多くの新聞で伝えられた。読売新聞の読者投稿欄には、福島ナンバーの車で県外ホテルでの結婚式に出席したところ、駐車中に「帰れ、来るな」と落書きされていた。

週刊誌報道によると、福島県へ派遣した特派員に「すぐ東京へ帰れ」と命じた社があった。名指しされた社が、週刊誌に抗議したという情報はない。その社には科学記者はいないのか。

「福島第1原発はレベル7」の発表が、国の内外に想定外の波紋を広げたようだ。首都圏に住む人に電話をすると、何人かに1人は「水道の水を飲んでも大丈夫でしょうか」と訴える人がいる。余震が続いているだけに、危機感が募るようだ。

最近までテレビのキャスターを務めた鳥越俊太郎氏は、マイカーで福島第1原発の正門前へ行ったという。東京を出発する時、放射能の線量計はほぼゼロだった。屋内退避エリア(30キロ)、避難指示エリア(20キロ)=当時の指定=を越え、正門前で線量を測ったら118マイクロシーベルトだった。その数値は、病院でのCTスキャン1回の被ばく量6900マイクロシーベルトに比べるとはるかに低かった――と毎日新聞に寄稿していた。フリーのリポーターによる同様の報告を伝えた民放テレビ局もある。

本紙既報のように、同原発近くの寺にとどまる住職もいる。「寺に住んでこそ住職だ」との信念を強めたと、この人は言う。

日本で初めてエイズ患者の存在が伝えられた時、その患者を診察した医院に人が寄り付かず、閉院に追い込まれたことがあった。何が危険で、何が危険でないかを知らしめる良識が望まれる。