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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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意外にもあの大臣が親身に接してくれた

2011年8月27日付 中外日報(社説)

A週刊誌には、女性作家Pさんの対談のページがある。先日発売の号では、科学者のQ氏をゲストに迎えた。その席でPさんは、CO2と言うべきところをH2Oと言ってしまった。二酸化炭素と水を混同したPさんは悪びれず、言葉そのままに掲載した。

Pさんがトチるぐらいだから、科学に弱い市民の中には、昨今のベクレルやシーベルト報道には、ついてゆけないという向きもあることだろう。

同じ週のB週刊誌では、福島第1原発に近いM市のR市長と、民俗学者との対談を特集していた。R市長によれば、東日本大震災発生の翌日、原発構内で水素爆発が起こると、放射能被ばくを恐れてか、各方面から急に冷たい仕打ちを受けた。まず自衛隊が一斉に撤退した。

避難所へおにぎりを届けてくれるはずの県のトラックは途中でストップし「ここまで取りに来い」と言う。ガソリン配送車も途中で尻込みしてM市に近付かない。顔なじみの報道関係者は「挨拶もなく逃げ出した」。

つまり、原発に近いM市は「放射能が怖い」の風聞の中で、各方面から見捨てられたのだ。意外なことに、親身になって対応してくれたのは、失言のため在任9日で復興担当相を辞任した松本龍氏だった。「医師が逃げ出し、救える命が救えない」と訴えると、翌日さっそく患者の搬送態勢を整えてくれたという。

衆議院厚生労働委員会の参考人発言で政府や国会議員をしかりつけた東大教授がいた。「私たちの推測では、福島の原発から広島の原爆の20倍もの放射性物質が漏出している。だが政治家は子供の健康を守るための対策を何もしていない」と。発言はユーチューブで流され、好評を博した。

しかし何の説明もなしに「広島の20倍」と言うと、県民は「ヒロシマの20倍もの被害が出るのか」とおびえる。いま少し県民感情に配慮した"対機説法"はできなかっただろうか。

広島大学医学部で昨年まで放射線影響研究所の専門委員だったS医師は「放射線は物理的放出量よりも生物学的影響の方が重要。今回の福島は、前者は大きくても後者は低い」と説明する。

京都在住の70歳の知人が自宅で倒れた。夫人がかかりつけの医師に「先生、来とくれやすな」と電話すると、医師は「来たでえ。私が来たから大丈夫やでえ」と言って駆け付けた。この医師のような政治家や学者に、東北復興の処方箋を書いてほしい。