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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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県外避難者への支援 相談ホットラインで

2011年9月13日付 中外日報(社説)

「わたしはここにいます」。東日本大震災でやむなく故郷を出、県外に避難、移転生活をしている人々への支援が動いている。大阪に拠点を置くNPO「街づくり支援協会」が全国各地に散らばった被災者に様々な情報提供をしたり相談を受けたりするホットラインを開設し反響が広がっている。

例えば、義援金支給など故郷の自治体の情報を伝える。見知らぬ地で生活用品をどう調達したらいいのか、子どもの学校転入は、仕事を探すツテは、といった困り事を解決するため協会スタッフ自らが動いたり、関係先や支援窓口を探し出して紹介する。同郷の人と連絡を取りたい場合も、交流会などの情報を調べて知らせる。

この震災での県外避難者は8万人以上とされるが、その生活状況などは不透明。総務省も自治体などからの聞き取りによって調査しているが不十分で、しかもそれに基づく支援のフォローは決定的に不足している。同協会は自前で近畿を中心に避難者数を集計。相談者からの声で、受け入れ自治体ごとの住宅エアコン設置補助の実態を調査し、各市町村に速やかな補助実施を強力に働き掛けた。

「被災地の仮設住宅では認められるのに、仕方なく県外へ出た人は何もないという格差があってはならない」。そう訴える中西光子事務局長は、阪神・淡路大震災の際、ほとんど無視されていた県外避難者を支えるため県と交渉、避難先での復興公営住宅入居説明会などの支援策を実現させた。

今回、「地域コミュニティーを大事にという意識が行政に芽生えたのは隔世の感ですが、まだきめ細かさがない」という。エアコンなどの設備、遠隔地へ求職活動に行く旅費の援助など国の施策はそれなりにあるが、広報不足で自治体でさえ知らないところがあり、孤立した避難者には届いていないのが実情だ。

全国へ散った被災者は徐々に「見えない」存在になっていく。「仮に各地にできた故郷の村の飛び地が連携して発展していく、というようなことがあっていい。今後も起きるであろう様々な災害で必ず出る県外避難者への支援を、応急ではなく恒常的制度として確立すべきです」と、国や自治体制度の根幹にまで言及する。

同協会が目指すのは、絆のネットワーク。そのネットワークと場所、人材が全国に広がる宗教教団には、支援の力が十分あるのではないか。「ここにいます」は被災者の叫びであり、寄り添う支援者の呼び掛けだ。同ホットラインは 「06・4964・1122」。