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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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女性の役割の変化 積極的意義付けを

2012年3月29日付 中外日報(社説)

人口の男女比率はほぼ5割だが、宗教者の数となれば男性が圧倒的に優位だ。伝統仏教教団などの場合、宗派の規則で男女の性差による区別を設けないところでも、実質上は男性優位の構造がしっかり定着しているのがほとんどだろう。

宗派によって異なるが、長い歴史を通じて、男僧が住職する寺の中で女性の存在は建前上、前提されていなかった、という背景がまずある。尼僧寺院が地方の有力寺院の末寺として下風に立ってきた関係が、一部には今も何らかの形で残っているともいわれる。宗門の立法機関である宗議会に女性が議員として入れば、そのこと自体がニュースとなるのが現実だ。

一方で、檀信徒との応対、子弟の育成など、寺の日常を支える住職夫人の役割は大きくなってきたし、そのことは宗門でも強く意識されている。住職夫人が、私は夫に嫁いだのであって、寺に嫁いだのではない、などと主張すれば、寺にとっては困った事態になるだろう。数十年前とは違い、宗門法規でも住職夫人の身分保障や義務の規定がかなり整備されてきたのは当然のことだ。

さらに、最近になって、住職継承にも新たな道筋が現れ始めた。寺に生まれた娘に住職候補の婿を取るのではなく、娘が自ら僧籍を取得して父親のあとを継ぐという形だ。ある教団でも、すでに必要な修行を終えて父親の住職のもとで副住職になった例がある。これまで尼僧となった女性が出家後に結婚することはほとんどなかったと思われるが、このように新たに住職への道を歩む女性が結婚するのを妨げる条件は何もない。この場合、寺族として女性住職を支える立場に立つのは夫ということになる。

代々男性が住職を務めてきた寺院を娘が継ぐというのは今後も例外にとどまるだろう。しかし、宗門における女性の位置の変化を象徴的に示す現象と見ることができるのではないか。

社会環境の変化の影響を受け、宗門も緩やかながら確実に変容してきた。その変化の意味が必ずしも十分に検討されないまま、宗門は現実を追認し、制度や法規に微調整を加えてきた、といえる。宗門内の女性の位置という問題などはその最たるものだろう。

権利と義務の微調整はバランスを取って、望ましい形で行われてきたか。あらためてチェックすることも必要だ。また、単なる現実の追認ではなく、この変化を積極的に意義付ける教学的な再検討が不可欠だと考える。