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障害者の側に立って見直してほしい原則

2012年3月31日付 中外日報(社説)

民主党の長老議員で政界ご意見番の一人、渡部恒三・元衆議院副議長が、次の総選挙には立候補しないと表明した。間もなく80歳を迎えるが「それでも選挙に出ると言ったら、笑われるよ」と会津弁で語ったそうだ。80歳は、人生の一つの節目だろう。

西日本のある市の身体障害者の会でも、80歳を迎えた会長が引退を表明した。ところが、後任を引き受ける人がいない。会長がいないと組織が成り立たないので、会は自然消滅もやむなし、との機運が高まった。

これまで会長を務めていたAさんは、身体のハンディを克服し、意欲的な活動をしてきた。市の社会福祉協議会と連携し、総会や役員会を招集して予算や決算などの事務を処理、報告書を作る。ボランティアの介助を受けながら、府県単位の連合会総会にも市の代表として出席する。

給料や報酬は受けないが、市議会議員並みの活動ぶりだった。会員は長年にわたり、全てをAさんに任せてきた。

気が付いてみると、主立った会員も80歳前後の年配である。町内会でも、80歳以上は役員免除という例が多い。障害を持つ80歳が、これから法律や行政の問題点を勉強してAさんの後を継ぐのは、極めて困難なことである。

組織がなくなっても、障害者が個人で市の窓口へ行けば、行政上のサポートを受けることは可能である。しかし組織のあった方が、通達や調査、申請ごとなどを機能的に処理できるから、双方ともに便利だ。それにボランティア団体との関係も無視できない。

行政とタイアップしたボランティア活動は、原則として市町村単位となっている。障害者団体があってこそ、ボランティア活動の場が広がる。障害者の会の消滅はボランティア団体の衰退を招き、ひいては「障害者とともに生きる」意識の低下を招く。

協議の結果、その市ではまず適当な後任会長を決め、実際の会の運営は社会福祉協議会やボランティア団体の有志が助けるという方向に向かっている。つまり、これまでは身体機能への介助だけだったが、事務的な面の介助も受けることになる。

団体の運営は、団体の会員が当たるべきだとの原則は、健常者である政治家や官僚が決めたことである。その原則を、障害者の立場から見直すべき時だ。今の行政は宗教色を排除する傾向があるが、障害者団体の運営に関しては、宗教者の参画する場があってもよいのではないか。