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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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統計から見える社会 個別課題に取り組む

2012年6月19日付 中外日報(社説)

厚生労働省が先日発表した「平成23年人口動態統計」をぜひ一読してほしい。出生から婚姻、死亡まで、この国の人々の生涯の動向が、A4判54ページに詳しく分析されている。大部分が数値データで示されているが、少し目を凝らせばそこから社会の縮図がはっきりと読み取れる。そこに、宗教者が立ち向かうべき生老病死の「現場」がのぞいている。

昨年の出生数は105万698人と、統計が残る明治32年以降では最少。一方、死亡数は125万3463人で戦後最多となった。その結果、人口の自然減は20万2765人と20万人の大台を初めて超えた。これだけでも将来に十分不安を感じさせる。

合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の想定数)は1・39で前年から横ばい。この率は2・08以上、つまり女性が2人以上を産まないと人口が維持されないのだが、特に30歳未満の女性で下がる傾向が続くという。

これは単に人生観や気構えの問題ではない。若年層の3分の1が非正規雇用という異常事態で、若い世代の生活環境が厳しい。他方で社会全体で子育てを支える仕組みが後退し、若い母親が育児で孤立したり、結果的に虐待につながったりする状況が背景にある。

生活苦は晩婚化にも表れ、平均初婚年齢は男が30・7歳、女が29・0歳と、いずれも前年より0・2歳上昇した。婚姻総数も前年比3万8315組も減り、やはり戦後最少の66万1899組。一生結婚しない人も増えている。これが、未来を望める安定した社会と言えるのだろうか。

死亡数増加は東日本大震災も大きく影響しており、死因別ではそれを含む「不慮の事故」が全体の4・8%の5万9596人。災害や事故、殺人事件までも含んだこれは、「老衰」の4・2%より多いのだ。引き続き「自殺」も2・3%を占める。そこには、残された遺族に対する悲嘆ケアの必要性も見えている。

主要死因は、1位が「がん」、2位が「心疾患」。がんは長年トップであり、ホスピスをはじめとする終末期医療の問題に直結する。超高齢化は「孤立死」「絶縁社会」と背中合わせであり、「団塊の世代」が亡くなることによる多死社会の到来は、すでに動きつつある葬送、エンディングの現場に激変をもたらす。

生老病死は社会構造と直結している。だからこそ、それに向き合う宗教者は、何が求められているのか、しっかり目を凝らさなければならないだろう。