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太陽光発電をすれば未来はバラ色なのか

2012年7月14日付 中外日報(社説)

オウム真理教事件の高橋克也容疑者が逮捕された6月15日、報道陣は東京・蒲田駅近くの逮捕現場のマンガ喫茶に殺到した。その日は首相官邸近くで、原発再稼働に反対する"金曜デモ"が行われたが、ほとんど報道されず、メディア批判の声が上がった。

ところが2週間後の同月29日、その"金曜デモ"はさらに盛り上がり、主催者発表では20万人に達したそうだ。各紙とも写真入りで報道した。デモに限らず、原発を廃止し"再生可能エネルギー"への切り替えを求める声が高まっている。その主役は太陽光発電だ。同じ日、読売新聞大阪本社版は2ページにわたり太陽光発電関連の記事を特集していた。

一つは、山梨県北杜市が年間の平均日照時間の長さが全国一で、太陽光発電の適地として注目されているという報告だ。大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設の動きがあると伝えた。

もう一つは、その電力を電力会社が買い取る価格の決定が遅れたため、メガソーラーの建設をこれから準備するという企業が多く、関西を中心に予想される今夏の電力不足には間に合いそうにないとの予測記事だ。電力事情にもさまざまな側面がある。

ところで今月1日から、太陽光発電による電力は今後20年間、1キロワット時42円で買い取られることが決まった。この金額は、資源エネルギー庁などの試算に比べると、原子力の10倍前後の数字になる。廃炉の経費や、使用済み核燃料の処理費用を見込むとしてもかなり割高になる。そうした事情を織り込んで計算すると、やがて電気料金は大幅な値上げが必要になるのではないか。

個人で住宅の屋根に発電用パネルを取り付ける例も増えたが、長年電気工事業界にいた大阪府のAさんは「私はお勧めしたくない」と言う。雨水がたまって屋根が傷んだり、金具がさびたりするからだ。20年たって劣化した発電パネルを撤去する際に、新たな公害問題が起こる恐れもある。

評論家の櫻井よしこさんによると、ドイツでは太陽光電力の買い取り価格を日本とほぼ同額に設定していたが、半額またはそれ以下に値下げの動きがあるという。発電パネルを生産する中国のメーカーの中には、価格競争のため赤字を出した所もあるとか。

何事も、結構ずくめはあり得ないということだ。電力不足を克服する最善の道は「少欲知足」の実践しかないのではないか。それができなければ「無明長夜」の日常が続くことになりかねない。