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2億人の大台割った宗教年鑑の信者統計

2012年9月20日付 中外日報(社説)

文化庁『宗教年鑑』は宗教法人に関するさまざまな統計を載せる。話題にされることが多いのは信者数集計だろう。宗教離れが指摘されてきた中、年鑑が神道系、仏教系、キリスト教系、諸教と分類する諸宗教の信者数累計は常に日本の総人口をはるかに超える。日本人の重層信仰の例証として挙げられることもあるが、神社の氏子など神道系の信者数把握の立場を考える必要がある。

信者数はあくまで各教団の自己申告がベース。個別宗派の信者数を見ると、伝統仏教教団などでは逆にもっと多いはず、と首をかしげることもある。檀家数が賦課金とも関わるなどの事情で、教団側は過少な申告に悩まされる。

今年7月末刊の平成23年版によると、この信者数集計は前年比減少して2億人の大台を割り、1億9961万人余(22年末現在)になっている。総人口と比較すると過大な数字であることに変わりはないが、日本の人口が減少に転じた影響もあるのだろうか。

なお、手元にある昭和39年版『宗教年鑑』では1億5619万人(38年末現在)、63年版では2億1843万人(62年末)。信者統計数のインフレーションがどの辺りで始まり、その背景にはどのような事情があったか、調べてみると面白いかもしれない。

ところで、23年版によると包括宗教法人は神道系、仏教系、キリスト教系、諸教合わせて399を数える。そのうち仏教系の包括宗教法人は167、ほかに非法人の包括宗教団体が30ある。包括・被包括関係は伝統仏教教団では本山・末寺の関係だ。江戸時代に幕府が定めた制度が原型だが、法流を基本としつつ在地の政治的な事情等にも左右され、宗派によって異なる複雑な歴史的経緯を持つ。

この本末関係は百パーセント完全に固定しているわけではない。宗教法人法上の被包括関係廃止で本末関係を離脱する例はまれではない。ただし、客観的に見て法律上の被包括関係は、信教の自由を配慮しつつ、伝統的本末関係を補強している側面がある。

また、教団は現実の社会の中で、信仰の共同体であると同時に、共益団体という性格も併せ持つ。状況次第で後者が強調される場合もある。

包括・被包括関係はいま、どのような意義を持っているのだろうか。急激に変わる社会環境の中で、本・末と信徒も含めた関係は果たして盤石か。どこかで空洞化が進んでいないか。それぞれの教団で自己点検する必要があるのではなかろうか。