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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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学生意識調査が示す若者の宗教観の変化

2013年3月23日付 中外日報(社説)

平成7年以来、11回目となる学生宗教意識調査の報告書が公刊された。この調査は「宗教と社会」学会と國學院大学日本文化研究所が合同で継続的に実施しているもので、毎回30以上の大学に在籍する数千人の学生の回答が分析されてきている。

若い世代の宗教に対する考え方は、大きな社会的出来事によって、影響を受ける度合いが中高年より強いのが一般的である。自分なりの価値観を形成する途上にあるから、これは当然であろう。

今年1月に刊行された報告書は昨年の4~6月に実施された調査の結果を分析したものである。一貫して設けられている信仰を持つ割合や宗教への関心などへの質問に加え、今回は東日本大震災と宗教や宗教者との関わりに関する質問項目がある。

少し注目したいのは、「こうした災害が起こったときに宗教や宗教家はどのような役割を果たせると思いますか」という問いへの回答結果だ。最も多かったのが「地域の人たちの避難場所となるスペースがあったら、できる限り提供する」で58・3%である。

次が「被災者の心のケアのための活動に力をいれる」で50・9%、「亡くなった人たちへの供養や慰霊などのための儀礼を特別におこなう」は40・0%である。最も少なかったのは「被災者の経済的援助のための活動に力をいれる」の34・0%であった。

心のケアや慰霊などの儀礼よりも、避難場所の施設としての期待が高いことには評価も分かれよう。しかし、総じて宗教がこうした場合にも社会的に役割を果たせるという考えは、一定程度存在するということが確認できる。

同時にこの報告書は信仰を持つ学生の割合が21世紀に入り増加傾向にあることを指摘している。宗教に関心を持つ学生の割合も同様である。このような学生の宗教意識のありようは今後の日本社会における宗教の位置付けを予測する大きな材料になる。

先進諸国では世俗化が進むという見解は、すでに20世紀末には強い懐疑にさらされていた。11回にわたるこの調査結果も、先進国における宗教への関わりが一方向に進むのではなく、多様なベクトルを含むことを示唆している。

宗教の社会参加に関する議論は大震災を機に新たな局面を迎えた。社会の変化への対応はさまざまにあろうが、社会のより良き方向に沿えるような宗教の姿を問う姿勢こそ、こうした若い世代の宗教に対する関心の増加傾向に正面から向かい合うことになろう。