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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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懲りない原発推進 未来のため行動を

2013年4月9日付 中外日報(社説)

「異体同心、心はいつもひとつです」(京都市)、「ふくしまに『がんばれ』じゃなくて、『いっしょにがんばろう』でしょ」(熊本市)。福島県南相馬市民のグループが全国に送っている名産品の申込書に添えられた、各地の人々からのメッセージが、未来への応援の言葉として地元のミニコミで紹介されている。

東日本大震災から2年以上を経てなお、相変わらず安全とは程遠い東京電力福島原発の体たらくぶりが明るみに出、除染も進まない中で膨大な数の住民が生活・環境を破壊され避難を強いられているが、暗雲の中に希望の芽もあちこちで見えてきた。

県特産のリンゴ「ふじ」が風評被害をはね返すようにアジアへ輸出され、桃も海外へ。県立高校生らによる被災体験をテーマにした演劇が関西などで上演されて共感を呼んだ。ほとんど全ての都道府県へ移住した県民たちも新天地で生活基盤を整えつつあり、例えば京都市内でレストランを開いた姉妹には縁のできた僧侶らによる支援の輪も生まれた。

新地町の学校では校舎屋根に太陽光発電のパネルが寄付によって設置され、クリーンエネルギーの学習を兼ねて教室の照明に使われる。大阪で開かれた反原発のコンサートでは、シンガー・ソングライターが自分で自転車をこいで発電機で起こした電気でエレキギターを演奏し、喝采を浴びた。

国策として原発を推進してきた揚げ句に、事故がまだ収束もしていないにもかかわらず、政権再交代後は「経済第一」の呼び声のどさくさに紛れて再び原発推進を口にする自民党政権だが、つい昨年にこぞって「脱原発」「少欲知足」を言いたてた宗教界がこれに何の対応もしないなら、ただの言いっ放しであり、未来の芽はないだろう。

「私は世界に結び付いている、という文殊の深い智恵。その智恵を現実の中で実践的な課題や行いに結び付けていくのが本当の仏教です」。長年、福井県で原発に反対して警鐘を鳴らし続け、「うそつきと笑い飛ばされることが願いで、その時こそ運動の目的が達成される。この事故で『言った通りになったね』と言われたのでは敗北です」と語った中嶌哲演・明通寺住職のスタンスだ。

「山を川を海をきれいにしておくのだ あの可愛い者たちのために 未来を受け継ぐ者たちのために みな夫々自分でできる何かをしてゆくのだ」。住職が引用する坂村真民の詩「あとからくる者のために」はこう結ばれる。