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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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自殺防止の願い込め歌曲CDを無料提供

2013年4月18日付 中外日報(社説)

「日本の自殺者数は、毎年3万人前後。交通事故で亡くなる方の6倍です。自殺防止の一助になればと願って、音楽CDを作りました」と語るのは、大阪府高槻市で文化教室を開いている仲田純子さん(花園大大学院出身)である。自殺の前兆になりがちなうつ病を音楽の力で改善させたいとの思いを込めている。

「あなたへ」と印刷されたCDジャケットには、奈良県内で撮影された桜とコスモスの写真が美しい。収められた曲は、東日本大震災の被災者を励ますために作られた「ほらね、」=伊東恵司作詞・松下耕作曲=をはじめ、ミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」中の歌曲「すべての山にのぼれ」など計5曲。

音楽グループ「RACY」を組織するソプラノ歌手・柳瑠見子さんが歌い、松田千夏、仲田晶、岸野有加利さんらが演奏した。「皆さん、無償で協力してくれました。この歌曲を聴いて、一人でも多くの方が生き抜く意欲を取り戻してほしいと思います」

自殺の原因はさまざまだが、うつ病が引き金になる例が少なくないと仲田さんは言う。うつ病の克服には精神科での治療や、臨床心理士によるカウンセリングが有効とされているが、欧米では「マインドフルネス認知療法」が注目されるようになった。

仲田さんによると「禅や瞑想を取り入れて1991年、英国で開発された心理療法」とのこと。日本ではまだ数カ所で実施されているだけである。

仲田さんは5年前から、文化教室の空き時間を利用して月2回、うつ病者にこの療法を実践している。毎回2時間、悩みを聞く対話を重ねながら、歌唱や体操を指導する。音楽には、委縮した前頭葉を解きほぐす効果があるという。費用は会場費500円。

3月に自費で制作したCD千部は、希望者に無料で提供している。花園大大学院の先輩を通じて東北の被災者約100人に配ったのをはじめ、知人を通じて数百部が配布された。

宗教者による自殺防止への取り組みは「いのちに向き合う宗教者の会」をはじめ、幅広く展開されてきたが、これらの活動から漏れる自殺者が後を絶たない。「宗教者の経験に学び、うつ病から自殺への道を断ち切るためのお手伝いをしたい。お寺の一室でCDを聴く会を開けないでしょうか」と仲田さんは言う。

仲田さんの連絡先は〒569-1117 大阪府高槻市天神町1-8-23-12 純和センター。