ニュース画像
北山十八間戸の法要には100人以上の参列者が詰め掛けた
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

集団的自衛権見直し 強引な手法に危うさ

2013年9月19日付 中外日報(社説)

集団的自衛権をめぐる憲法解釈の見直しに向けた動きが加速している。「憲法解釈の番人」と呼ばれる内閣法制局長官に見直し容認派の人物を起用するなど、議論も不十分なまま強引に環境整備を図る安倍政権の手法に危うさを感じざるを得ない。

集団的自衛権は、アメリカなど日本と密接な関係にある国が攻撃された場合、日本が直接攻撃されていなくても日本も一緒になって攻撃を阻止する権利だ。日本に対する攻撃を阻止する個別的自衛権の行使は合憲との解釈は定着している。これに対し集団的自衛権は、憲法上「保有しているが行使できない」との解釈が政府の公式見解になっている。

安倍晋三首相は長年にわたり積み上げてきた政府解釈を覆し、集団的自衛権の行使容認に踏み切ろうとかじを切っている。第1次安倍政権時代に設置され、2月に安倍首相が復活させた安全保障に関する有識者懇談会は、年内にも行使容認を提言するとみられる。

そもそも集団的自衛権を行使するのはどういうケースなのか、議論は深まっていない。同懇談会は平成20年6月に出した報告書で、公海上でのアメリカ艦船の防護やアメリカに向かう弾道ミサイルの迎撃など「4類型」を挙げた。この中には個別的自衛権で対応可能であったり、現実性に疑問符が付くケースのあることが指摘されている。

集団的自衛権は、突き詰めれば同盟国と共に海外での戦闘行為に参加することではないか。専守防衛の日本が海外で戦争することなどあってはならないと集団的自衛権の行使に危惧の念を抱く宗教者・国民は多い。

行使の中身と共に、無理に解釈を見直して今この時期に行使を認めなければならない理由も明確ではない。安倍首相はじめ行使容認派は北朝鮮の核開発など安全保障情勢の変化を挙げる。しかし憲法改正や解釈見直しに中国・韓国は強い懸念を表明しており、こうした動きが周辺国との緊張を高めるのであれば本末転倒だろう。

安倍首相は就任当初、改憲の発議要件を緩和する憲法96条の改正に意欲を見せていたが、先の参議院選挙では正面切って議論することを避けた。自民党大勝の結果を受けて、まずは解釈改憲へと動きだした形だが、こうした姿勢では到底、国民の理解は得られまい。

安全保障の在り方は平和憲法の根幹に関わる問題であり、国民の命の行方を左右する問題だ。宗教者も先頭に立って国民的議論の喚起に尽くしてほしい。