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強引な政治手法と市民の信頼の喪失

2014年1月18日付 中外日報(社説)

政府や与党が民意から大きく離れた政策を強引に押し通す、という事態が続いている。昨年12月7日の『朝日新聞』は「秘密保護法の国会での議論が『十分だ』は11%にとどまり、『十分ではない』が76%に達した。賛否については賛成24%、反対51%となり、法律が成立してもなお反対が多数を占めた」と伝えている。

強引な政治手法は原発政策にも表れる。同月6日、経済産業省の審議会「総合資源エネルギー調査会」は基本政策分科会において、エネルギー基本計画に関する事務局素案を突如公表し、わずか2回の審議で同13日、「エネルギー基本計画に対する意見」をまとめた。そこでは原子力発電を「準国産エネルギー源」「優れた安定供給」「効率性」「運転コストが低廉」「基盤となる重要なベース電源」などと大いに疑問のある見解を述べて原発の維持を説いている。

だが、これも民意とは大いに異なる。『毎日新聞』が11月12日に公表した全国世論調査では、小泉純一郎・元首相の主張する「原発ゼロ」に対して、「賛同する」との回答が55%と半数を超えた。世論調査の推移を見ても、福島原発事故後、脱原発の意見はコンスタントに60%程度と多数を占めており、継続維持派はせいぜい10%を上回る程度だ(『中央調査報』668号)。経産省は原発の推進を担ってきた役所であり、原発維持に大きな利害関係を持っているとみられている。特定官庁の偏った主張を政府与党が支えようとしていると見なされても仕方がない。

こうした政治手法の背後で、与党が衆参両院でかなりの差で優位を占める事実が作用している。だが昨年、一昨年の選挙での与党の勝利は、選挙に強い政党の組織票が強く作用したもので、必ずしも与党の政策への国民の支持を反映してはいないとの見方もある。宗教団体の支持が選挙結果に大きな影響を及ぼすとみられている。民主主義と平和を支える宗教の役割も問われる。世論に背き強引な手法を押し通す政治は市民社会の信頼の基盤を掘り崩す。特定秘密保護法に関する海外メディアの報道が示すように国際世論も日本の民主主義の未熟さを危ぶんでいる。

信頼の喪失は、民主主義社会の基盤となる「一人一人のいのちを尊ぶ」「異なる立場を排除せずに十分な討議を経て物事を決めていく」といった理念が蔑ろにされていることによる。社会を支える信頼の構造基盤も弱まっている。人心が確かな宗教に向かう時ともいえる。それに応じ得るような宗教界の行動を期待したい。