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重み増す女性の役割 議論は幅広い視野で

2014年2月1日付 中外日報(社説)

宗門関係の会議では、しばしばあからさまな本音が語られる。中には、宗旨や伝統の建前からいって、そのまま活字にはしにくいような議論もあるが、繰り返し感想としてつぶやかれ、明確な意見として主張されるのを聞いているうちに、これは宗門の大きな変化の予兆だな、と確信させられる話題がある。その一つは宗門における女性の位置付けである。

しばしば真剣に、時には和尚に対する軽い揶揄も込めて「寺は奥さんで保っている」と語られる。圧倒的に男性優位の宗門社会に対する逆説的な言挙げか、素朴な現実の認識かはともかく、寺の運営で女性が果たす役割が大きくなっていることが、宗門の公式の場でも論じられる時代になってきた。

もっとも、男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法が象徴するような、男女の平等を目指す社会の動きをそのまま反映している、と言い切るのはためらわれる。むしろ、家庭内での夫の比重低下との相関を想起する向きが多いかもしれない。とすれば、寺院を支える人間関係の変質を意味しているわけで、宗門の未来を考える上で考慮から外せない重要な問題だ。

役割の重さを踏まえた寺庭婦人・坊守などの新たな義務設定と権利保障を、教学的な目配りも怠らずバランスを取りつつ検討するとなると、これは容易なことではない。どうしても徐々に調整していくことになろうが、そこには目先にとらわれない宗門の長期的ビジョンが不可欠だ。

一方、住職と配偶者寺族の関係は役割分担であり、宗制などの原則上、男女が逆になることも可能な寺がほとんどだろう。住職の男女比が均衡していない現実の背景には、国会議員や地方自治体の首長、企業トップなどで女性の絶対数が少ないのと同じ理由とともに、個別的な事情が介在する。もちろん女性の志願者が増加すればだが、男女比の落差は縮まる余地がある。

ところで、女性僧侶・尼僧の場合、宗門によって実態は大きく異なるが、旧本末関係など寺の格の上下、経済力の差とも深く関わる問題が、かつて一部で指摘された。檀家がいなくて兼職が難しい尼僧寺院で、大寺との間に経済的依存関係が発生し、そこで本来あるべきでない差別的な扱いが行われていたという。こうした差別はもう解消されただろうか。

女性の役割の再認識に基づく議論が、こうした側面も含め広い視野のもとで行われることを期待したい。