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宗務行政の変化と「認証」制度の危機

2014年3月8日付 中外日報(社説)

昨年は文化庁の宗務課百周年だった。『宗務時報』記念特集号が発行され、宗務行政の歴史を振り返る宗教法学会のシンポジウムも開かれた。

明治維新後、宗教行政は国家の方針のもと、紆余曲折を経てきた。神仏分離など明治以来の宗教政策は各教派の歴史にも深刻な影響を及ぼしてきた。この間、幾度か宗教団体に関する法の制定が試みられ、1939年に初めて宗教団体法が公布される。しかし、敗戦とともに宗務行政の流れはいったん断絶する。占領下、宗教団体法は廃止される。GHQは政教分離の観点から宗務課の廃止も一時、検討した。その後、51年に現在の宗教法人法が施行され今日に至るわけである。

宗教に関する国家と国民の関係は、信教の自由とその制度的保障である政教分離を基本とする。政教分離の性格は国によって異なるが、それ自体が目的ではなく、信教の自由を守るための制度と理解される。

日本国憲法施行から67年、宗教法人法制定から63年を経て、国家と宗教の関係にも政治情勢の変化を反映した変動が起きつつある。95年にはオウム真理教事件がきっかけと説明される宗教法人法の重要な改正が行われたが、当時の政治的な力学が働いていたことは明白だ。今はまた、憲法改正を狙う動きの中で、政教分離に関わる20条の改正も議論されている。

法の改正を経ないレベルでの変化も無視できない。認証制度は宗務行政の本質を示す宗教法人法の柱の一つであるが、「認証の厳格化」という方向が行政側からアナウンスされている。所轄庁に「厳格化」を必要と考える理由があることは承知している。マスメディアも宗教法人の不祥事を取り上げる際は、その理由を是とする傾向がある。だがこれは現政権が進める集団的自衛権の憲法解釈変更と同様、法改正を経ず重要な原則の舵を大きく切り替える手法だ。

認証制度の変質に対しては京都仏教会などが文化庁に抗議しているが、宗教界の関心は政権の解釈改憲に比較してもはるかに低い。だが、認証制度は国家と宗教の関係に深い影響を及ぼし、政教分離や信教の自由そのものにも波及する問題であることを忘れてはならない。つまり、限られた数の宗教法人の代表役員や責任役員だけの利害に関わる事柄ではないのである。宗教者は信教の自由の観点から見識ある発言ができる。自ら当事者として関わる重要な公共的問題として認識を深め、臆することなく発言すべきであろう。