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不活動法人の解散 法的手続き簡便化を

2014年7月2日付 中外日報(社説)

ある伝統仏教教団の過疎地寺院の現状に関する報告書がある。対象となっているのはこの宗門の一つの行政区画を構成する9カ寺。専任の住職がいるのはわずかに3カ寺で、しかも寺院は2県にまたがって散在し、本山では実態の把握さえ難しい。

数年前、宗門の議会でこのうち六つの無住・被兼務寺院の合併案が承認された。ただし、宗門側が予算を割いて、合併のための具体的な作業を行うわけではない。ただでさえ煩瑣な法的手続きは進むのか、疑問はあった。

地元の責任者がまとめた今回の報告書はこの危惧を裏付けた。傷みが目立ち、倒壊の危険があった堂宇の解体が地元住民によって行われ、境内が公園化されている寺院、本尊がすでに合併予定先に移されている寺院などもあったが、合併や任意解散の法手続きがいずれも手付かずのまま、と報告書は伝えている。寺院の物理的な解体より、法律的な処理の方が難しい。――数千もの不活動宗教法人が現存する原因は、どうやらこのあたりにありそうだ。

不活動法人の対策に積極的に取り組む別の教団では、専門的知識を持つ職員が現地に直接赴いて任意解散、合併の手続きや当事者への助言・指導を行っている。

代表役員(兼務住職)、責任役員が実質的に不在の不活動法人の場合、解散するために兼務住職を選任し代表役員に就任させることから始める。責役会で法人の解散を議決、清算人を選任し、法人の解散に関わる公告を行う。公告期間後には意見申し立て期間が2カ月間設けられており、この後、宗派つまり包括法人の承認、所轄庁への解散認証申請がある。設立時の規則認証とは異なり、解散認証は長引くことはないが、そこからさらに法務局への解散、清算人就任登記、所轄庁への報告など地方裁判所監督下の手続きを経なければならない。

それで晴れて官報公告となるが、これらと並行して残余財産に関わる問題も処理しなければならない。残された堂宇の解体、不動産価値のない土地の譲渡などは厄介で、前者は経費も発生する。

以上、ざっと見ただけでも不活動法人解散のハードルがかなり高いことが理解できるだろう。まして、解散・合併が必要な法人の代表者、関係者はすでに死亡していたり、高齢で動けないことなども多いのだ。法律上の要件であるにせよ、解散が必要な宗教法人にとってそもそもそうした手続きを取ること自体が容易ではない。解散時の法手続きの簡便化を図れないものだろうか。