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武器輸出の拡大 脅かされる平和国家の歩み

2015年10月21日付 中外日報(社説)

防衛省の外局として防衛装備庁が10月1日、1800人体制で発足した。防衛装備品の研究開発から調達、輸出までを所管する年間2兆円近い予算を扱う。1962年に防衛施設庁が設立されたが、2006年、防衛施設庁談合事件を受けて、防衛庁(当時)は防衛施設庁を解体し、防衛庁本庁に統合することを決定した。翌年に防衛庁は防衛省に昇格したが、今回、再び外局として防衛装備庁を設けたわけだ。

これは武器輸出の解禁と密接に関わっている。昨年4月にこれまでの武器輸出三原則に代わって防衛装備移転三原則が閣議決定され、武器輸出の制限が大幅に緩和された。背後には財界の強い要請がある。軍事産業を発展させて、競争力が落ちてきている日本の経済を立て直そうという強い意欲があることは、9月10日に経団連が発表した「防衛産業政策の実行に向けた提言」(9月15日付)で明確に示されている。武器などの防衛装備品の輸出を国家戦略として推進すべきだとするものだ。

「提言」が9月10日に公表されたのは、19日に可決成立した安全保障関連法案を強く意識したものだ。「提言」は「安全保障関連法案が成立すれば、自衛隊の国際的な役割の拡大が見込まれる。自衛隊の活動を支える防衛産業の役割は一層高ま」ると述べている。また「積極的平和主義」を掲げ、「各国政府間との防衛装備品協定等の枠組みの下、地域安全保障のあり方を含め、相手国の状況に応じた官民による装備品や技術の移転の手続を含む仕組みが必要である」とし、国家として武器輸出の促進に取り組むべきだとする。

国際平和に貢献し日本の抑止力を高めるとして、世論の疑念を置き去りにして強引に採決された安全保障関連法案だが、実は背後に軍事産業の増強を求める財界の強い意欲があることが分かる。事実、経団連は安倍政権の成立以来、防衛体制の強化を促し、集団的自衛権の容認と安保法制の成立を促すような行動や発言を重ねてきている。

このように見てくると、平和主義を掲げる我が国の憲法に違反する安保法制の成立の背景には、軍事産業の発展という財界の動向が強く作用してきたことが分かる。「いのちより金」という姿勢が日本の国の在り方を大きく変えていこうとしている。戦後日本の宗教界は平和主義の憲法を支持し、日本が平和国家として歩んでいくことを求めてきた。軍事産業増強と一体化した武器輸出拡大の動きは、宗教者にとって見過ごせない動向と言わなくてはならない。