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国家改造目指す改憲 問われる宗教界の対応

2016年1月20日付 中外日報(社説)

今年の政治の最大の焦点は、衆参同日選挙が行われるかどうかである。安倍首相は「考えていない」と繰り返し否定しているが、新年早々に与党自民党の幹部が「政権幹部がしたいと思っていることは間違いない」と発言したことで、政界では同日選が既成事実化しつつあるともいわれている。

同日選で安倍政権が狙うのは自民、公明の与党両党による参院定数の3分の2以上の議席確保だ。既に衆院では自公で3分の2以上を占めており、参院も同じ状況に持ち込むことができれば、公明党の対応にもよるが、安倍首相の念願である国会による「憲法改正」の発議が可能となる。

自民党は2012年版の「日本国憲法改正草案」で、それこそ戦後日本の歩みを大きく変える国家の改造を提案している。

憲法全体の改定はハードルが高いので、異論の少ない問題から手を付けていくとみられる。「改正」の実績をつくった上で、反対が多い本来の狙いの部分に進むことになろう。

宗教界が先頭に立って護持すべき信教の自由・政教分離の規定は第20条、第89条だが、天皇を元首と規定する第1条(天皇)や「日の丸」を国旗、「君が代」を国歌とし、国民にその尊重を義務付ける第3条(国旗及び国歌)の改正案もそれに深く関わる。

さらには、公益及び公の秩序に反した活動や結社を認めないとする第21条(表現の自由)なども宗教界としては看過できない重大な問題を含んでいるとの指摘がある。

自民党は、オウム真理教に対して破壊活動防止法が適用できなかった反省を踏まえ、この21条の内容を決めたとされるが、「公益及び公の秩序に反する」との判断は一体誰が行うのだろうか。

裁判になれば裁判所がその判断を行うことになるのだろうが、活動や結社の取り締まりに当たるのは警察、検察などの国家権力だ。

ここに「特定秘密保護法」の際と同じ危険性が潜んでいる。

「特定秘密保護法」では、政府は自らに都合が悪い情報を「特定秘密」に指定して国民に知らせないようにすることが危惧されているが、国家権力にとって不都合な活動、結社に、“憲法違反”のレッテルを貼って取り締まりが行われる可能性も杞憂とはいえまい。

戦前、戦中、当時の政府、そして軍部は、治安維持法や刑法を乱用して「国体」に反し、反戦的な宗教団体や宗教者に次々と弾圧を加えた。戦後71年を経て、この悪夢を再び繰り返させないために宗教界の行動が問われている。