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宗派教育の節度 逸脱できぬルールがある

2016年2月5日付 中外日報(社説)

幸福の科学大は2015年度開学の予定で大学設置を申請していたが、文部科学省は不認可とした。大学予定の施設は千葉県長生村にすでに完成していた。

そのため、HSU(ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ)という一種の私塾が、15年に開学された。高等宗教研究機関と銘打つが、修了しても一般的には高卒扱いとなる。当初大学の学部として予定していた人間幸福学部などはそのままHSUに組み込まれた。

HSUは名称から分かるように宗教法人幸福の科学が経営母体である。幸福の科学はすでに中高一貫校を2校設立している。栃木県那須町の幸福の科学学園と大津市の同関西校である。これらの高校の卒業者が進学することを想定して大学の設立を計画した。昨年に那須の幸福の科学学園を卒業した多くの生徒が、HSUに入学したということである。

幸福の科学学園の教育方法に関して、1月下旬に一つの最高裁決定があった。週刊新潮およびそこに寄稿したライターが、同学園から訴えられていた事件である。二審敗訴を不満とした学園側の上告が不受理と決定し、被告側が全面勝訴になったというものだ。

争われていたのは、週刊新潮の記事にあった次の3点である。

①幸福の科学学園那須校では、一般的な教科の授業においても大川隆法の霊言に基づく内容を教師が教えているが、学習指導要領からの逸脱である②同校では幸福実現党を支持する政治教育が行われているが、教育基本法に違反する③同校では開校から少なくとも12年まで、寮生活のルールを破った生徒を隔離して孤立した生活を強いる最大3週間の「独房懲罰」を課していたが、生徒への懲戒に関する文科省通達への違反である

これに対し、学園側は1億円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて提訴していたが、裁判所は記事の主要部分の事実と表現の妥当性を認め学園側の訴えを棄却した。

宗教系の学校における宗派教育は一定の条件のもとで認められている。この一定の条件とは、裁判で争点となったように、学習指導要領の順守など、教育に携わるものが守るべき最低限のルールだ。

宗教側からすれば、若い世代に信仰の価値を伝えたいという強い願いがある。しかし、教育基本法に基づく教育の場では、逸脱してはならない一線がある。その最低限のルールが無視されていたということだろう。このような事例は宗教教育や宗教そのものに対する誤解にもつながりかねない。特殊なケースとはいえ、以て他山の石とする必要もある。