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台湾は原発ゼロへ 環境問題は国を超えた視点で

2016年11月25日付 中外日報(社説)

台湾政府は先頃、2025年に原発を廃止する方針を固め、再生エネルギー事業への民間参画を促す電気事業法の改正案を閣議決定した。現在、3基の原発が稼働中だが、うち2基は首都台北30キロ圏内の至近距離にある。潜在的な危機感は以前から持たれていた。決定的だったのは、11年の福島第1原発事故である。

いったん事故が起きると、取り返しのつかない被害をもたらすのが原発である。九州ほどの大きさの台湾のことだ。福島第1原発と同様な事故が起きれば、影響は全土に及ぶ。

現在、台湾では原発は全発電容量の14%を占める。25年までに稼働中の原発は全て40年の稼働期間を終え、これを機に原発ゼロにするのである。今後力を入れる再生エネルギーは、太陽光および風力発電が二つの軸となるが、その発電容量の割合を現在の4%から20%に拡大することを目指す。

そんなことは実現可能なのかという疑問に対して、台湾の経済相は、放射性廃棄物の問題を子孫に残さないための政策をこそ、真剣に考えるべきだとコメントした。問題を先送りしないという強い意志の表れだといえよう。

台湾は国連に加盟しておらず、大多数の国から地域という扱いを受けている。海峡を挟んで中国大陸に対峙し、その緊張関係も並大抵なものではない。原発の技術は軍事的に転用できるとされ、その意味で原発はエネルギー政策だけでなく、国防上必要だという意見も聞く。

日本では、原発再稼働反対の知事が当選するなど脱原発に向けての動きはあるものの、政府の方針はそうではない。それどころか、最近もインドへの原発輸出を可能にする協定を結んだ。その背景には、中国など近隣諸国が原発増設を進めることへの懸念がある。

けれども、これらの国で原発事故が起これば日本も無傷ではない。環境問題には国境はないのである。むしろ、原発の危険性を訴えることこそが、悲惨な原発事故を経験した日本の啓発的役割ではないだろうか。そんな中、台湾が脱原発へと大きく舵を切ったことは、極めて画期的なことだ。東アジアの安全と平和、共存と繁栄のためにも、台湾での脱原発の推移を見守りたい。

宗教者にも国を超えて環境問題を見る目が必要である。現在世代だけではなく、子孫の生命も脅かす原発問題に対して、それぞれの教えからいのちの尊さを自覚し、広く国内外の世論に向けて原発のはらむ危うさを呼び掛けていくことが求められる。