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トランプ登場と日本 独自の外交確立めざせ

2017年1月13日付 中外日報(社説)

ある雑誌が日本の戦後史分析を特集し、経済ジャーナリストたちが「バブル経済は日本にとって“第二の敗戦”だった」と論じていた。

太平洋戦争の終戦は、やがて神風が吹くと信じ込まされていた多くの国民に、価値観の転換を迫るものだった。それに対し1986(昭和61)年から約5年に及ぶバブル経済は、経済に関する価値観を一変させた、と論文の筆者らは分析する。

常識では考えられない地価上昇が続き、地上げが横行。東京の山手線に囲まれた土地の値段で米国全土が買えるといわれた。堅実な職業のはずの銀行員が目の色を変えて融資先を探したり、大銀行の支店長が料亭のおかみに頭を下げて巨額の資金を借りてもらったりした。それらが当然のこととして進行した。

そのバブルがはじけた後は、不良債権の山である。大手の銀行や証券会社が倒産した。巨大スーパーやホテルチェーンも姿を消し、悪夢のような日々の果て、日本人は何とか、まともな経済的価値観を取り戻した。この経過を論文の筆者らは“第二の敗戦”と呼ぶべきだと主張する。

さて、米国の大統領選挙で、共和党のトランプ氏が当選するという“番狂わせ”が起こった。所属政党・共和党の幹部からも見放されていたトランプ氏の当選は、米国自体にとっても思いがけない出来事だが、日本もまた大きな揺さぶりを受けることになる。

米国の大統領は、独立直後を除いて、共和・民主の二大政党出身者が選ばれてきた。所属政党の違う大統領が就任すれば政策が変わるのは当然だが、天と地がひっくり返るような転換は少なかった。

例えば、60年の選挙で民主党のケネディ氏が当選した時、前任者の共和党・アイゼンハワー氏は「立派な後継者を得ることができた」と声明したほどだ。

ところが今回のトランプ氏は、民主党のオバマ政権の政策を全てご破算にする、と受け取られかねない発言を繰り返している。日本にとって、特に、軍事協定見直し宣言は切実な問題である。

「戦後レジームからの脱却」は、安倍総理の考えとは違う形で現実化するかもしれない。安保体制に寄り掛かってきた日本だが、従来のように米国の外交政策に追随するだけでは済まされない状態に置かれるであろう。日本は“第三の敗戦”に直面する思いで、自主的な外交政策の確立を考えるべきではないか。それには、「改宗」をするほどの覚悟が必要ではないかと考えられる。