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消費者協アンケート 「葬儀社にまず相談」の意味

2017年3月1日付 中外日報(社説)

日本消費者協会の「葬儀についてのアンケート調査」が先頃発表された。調査は同協会が1983年から3~4年に1度実施しており、これが11回目となる。

直葬、家族葬や散骨、樹木葬など死者を見送る形の新たな変化はマスメディアでも注目されている。また、お布施の額をはじめとする葬儀の「費用」の問題は遺族にとって大きな関心事だ。

同協会のアンケート調査は葬儀費用や布施の平均額まではじき出しており、各種メディアで使いやすいデータとして時折引用される。昨年夏実施の今回調査では葬儀費用の全国平均が196万円、「寺院への費用」が同じく約47万円で、3年前の調査の169万円、45万円より増えている。

調査サンプル数が少なく、地域別の回答数に大きな偏りが見られる点や、「葬儀費用」の算出基準等に問題があることは指摘されている。協会によると調査対象の増加を図り、有効回答数は前回の1618人から1875人に増えた。ただ、葬儀費用を答えたのはその約4分の1で、しかも大都市圏以外は標本数が少ない。

葬儀は個別に大きな差があり、地域格差も顕著だ。全国平均の「葬儀費用」はメディアにとっては便利だが、信用度は疑問がある。葬儀費用の増加も実感を伴うものではない。報告書は平均額を「参考値」とするが、数字として独り歩きすると、少しおかしなことになる。

一方、同調査の報告会に関する本紙記事(2月3日付1面)によると、「葬儀に際して、最初にだれに(どこに)相談しましたか」という設問への答えは、前回、寺社・教会が葬儀社を上回っていたが、今度の調査では葬儀社が5割を超え、逆転して寺社・教会(2割弱)の上位になった。

まず葬儀社へという発想は、郷里を離れ大都市に生活の拠点を移した人々の感覚なのかもしれない。ただ、3年前の調査では「親族」に続いて2番目の優先順だった寺社・教会が、今回の調査で3番目に落ちたことは、「葬儀費用」と違って見過ごせない。

アンケートが示す数字は咀嚼が必要だが、調査サンプルの取り方を考慮すると、とりわけ大都市圏で離郷檀信徒との新たな関係づくりがうまくいっていないという推定が浮かび上がってくる。調査結果の報告会に出席した全日本仏教会の戸松義晴理事は「葬祭業者の努力」と寺の「敷居の高さ」を指摘した。「敷居の高さ」で象徴される実態を改善しない限り、優先順の低下は大都市圏から地方にまで波及してゆくだろう。