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大学冬の時代 仏教学関係学科の充実を

2017年4月26日付 中外日報(社説)

キャンパスは今春も、多くの新入生を迎えた。学内が未来に希望を持つ若い人たちの姿であふれる光景は心強いものを感じさせる。

しかし一方で、今さら言うまでもないことだが、少子化が速いスピードで進み、「全入時代」「大学冬の時代」といった言葉が意味していたことが現実となって迫ってきている。京都育英館への経営譲渡が発表された曹洞宗系の苫小牧駒澤大の問題は象徴的だ。宗門人にとって寝耳に水の「経営譲渡」には、深刻な定員割れが続いていたという背景がある。「仏教による人間教育」を建学の精神とする大学がこのような形で宗門から離れることに、複雑な思いを抱く人は宗内外に多いはずだ。

伝統仏教教団の教育機関の歴史は、古くは綜藝種智院にまでさかのぼる。室町末期から徳川時代にかけて成立した檀林や学寮などに淵源を求める大学も幾つかある。そもそもは僧侶の養成機関であり、明治になって近代教育を行うようになってからも、しばらくはこの基本性格は変わらなかった。

明治維新から150年。各大学の歴史を見ると、この間、国の教育制度や社会環境の変化に伴い、組織や名称を目まぐるしく変えてきたことが分かる。戦後、新制大学となった宗門校はベビーブームなどの余慶で総合大学として規模を拡大し、その過程で僧侶養成機関としての存在感や宗教的薫育効果も相対的に薄れていった。

宗門校が体験してきた近・現代の変化の波は今も続き、さらに大波が押し寄せる。総合大にせよ単科大にせよ、一般学生を受け入れる教育機関として、優勝劣敗の淘汰の原理は避けられないだろう。

しかし、見失われてはいけないのは、檀林、学林などと呼ばれていた時代以来の後継者養成の使命だ。宗学、仏教学関係の学部学科は、大学によって差はあるものの、一般的に募集状況は厳しい。単に数の問題ではないが、このままでは宗学教育の最高機関としての権威、そこで学ぶ魅力まで衰えていくのではないかと恐れる。

「大学冬の時代」を乗り切ろうとする宗門校は、宗学・仏教学関係の学部・学科を、「ここで学びたい」と学生に思わせる魅力ある場とするため、最大限の努力を重ねてほしいものだ。「勝ち組」として規模拡大の道は歩めなくても、根幹となる部分が生命力を保ち続ければ、大学で学びあるいは学園を育ててきた先人たちを裏切ることにはならないだろう。

宗門大学としての生き残り、発展は、何よりもまず宗学・仏教学関係学部・学科の充実の可否にかかっている。