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お盆休みに備えて 帰省の檀信徒と交流を

2017年7月14日付 中外日報(社説)

150年前の明治維新は、日本の社会全体に大きな変革をもたらした。暦法の改正もその一つだった。月の満ち欠けを基本とする旧暦(太陰太陽暦)から、欧米諸国が使う太陽基本の新暦(グレゴリオ暦)に切り替えられた。明治5年12月3日を、明治6年の1月1日とした。

暦の表示が約1カ月進められたのだ。桃の節句と呼ぶ3月3日の雛祭りは、桃の花が満開となる旧暦3月に行われていたのだが、新暦の3月だとまだ蕾が堅い。1カ月ずらせて4月3日に雛壇を飾る地方も現れた。

旧暦6月の異称は水無月だ。田の水も干上がる真夏のカンカン照りの季節のはずなのに、新暦6月は梅雨の真っ盛りだ。季節感に敏感な俳人は、さぞかし当惑したことだろう。

浄土真宗の開祖・親鸞聖人の命日は「報恩講」である。弘長2年11月28日に亡くなったことから、真宗大谷派(東本願寺)はそのまま新暦にスライドさせ、毎年11月28日を御満座(最終日)とする日程で営んでいる。

一方、浄土真宗本願寺派(西本願寺)の報恩講御満座は、1月16日だ。これは往生の日を新暦に換算すると1263年1月16日であることに基づく。

さて、仏教徒の多い日本で、最も強く注目されるのが、お盆だ。江戸時代には7月13日から15日まで、家ごとに先祖の供養が営まれた。明治5年の改暦以後、東日本では新暦の7月にスライドさせた地方が多かったが、西日本では月遅れの8月に営む所が多数を占めた。そして、年とともに東日本でも、8月盂蘭盆会が定着する傾向にあるようだ。

郷里を離れて都市で働く人が増えると、夏休みの8月に子供連れで帰省するのが便利だ。企業の夏休みも、8月が多い。何事も東京に合わせて全国統一することの多い日本で、お盆だけは西日本がイニシアチブを取った形だ。

東京大教養学部の教授だった笠原一男博士(故人)は、1966年出版の『転換期の宗教』で「日本では時代の転換期に新しい宗教が出現して、宗教風土を一変させてきた」と指摘した。ところが博士亡き今、日本の社会では、「新しい宗教」が出現せぬままに、宗教心薄き時代が展開しようとしている。

今年の夏、帰省する檀信徒を迎える住職たちは、現代人が仏教をどう受け止めているかを見極めるべきではないか。父母の墓への愛着心はまだまだ強いはずだ。お盆当日は棚経で忙しい。事前に文書伝道を進めてはどうか。