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平和賞という警策 反核へ政府の大悟促す

2017年10月13日付 中外日報(社説)

厳しい警策を受けたようなものだ。今年のノーベル平和賞が国際NGOの「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)に授与されることになった。今年7月に国連で採択された核兵器禁止条約の実現に主導的な役割を果たした功績が評価されたという。

平和賞の受賞者を決めるノルウェーのノーベル賞委員会は、世界の良識を象徴する存在である。その委員会がICANの活動を評価した。ICANは日本原水爆被害者団体協議会(被団協)と連携して、核の非人道性を訴え続けてきた。「平和賞は日本の被爆者が受けたも同然だ」という声も上がっている。

しかし、日本政府は依然として核禁止条約に反対の立場を崩していない。米国の核のカサに守られているためであろうが、唯一の被爆国なのに、被爆者や平和を願う人々の声を無視する態度をとり続けていることになる。ノーベル賞委員会は「平和賞」という警策によって、日本政府に大悟を促したのではないか。

このところ、米国と北朝鮮の間で、核問題をめぐり非難の応酬が続いている。双方とも、今にも核兵器を使用しかねないほどの語調だ。そして日本の政治家は、米国の主張をそのまま復唱し、対立をあおり立てている。言葉の弾みによっては、どんな事態が起こるか分からない。日本政府としては対立をあおるのでなく、鎮静化に向ける努力をすべきではないか。体面上、米国が言えないソフトな言葉を代弁し、北朝鮮をはじめ中国、ロシアなど関係国に伝える道があるはずだ。

ノーベル賞委員会は、核保有国への参入を目指す北朝鮮を批判する一方で、核保有国には核廃絶に取り組むことを求めている。核保有国は「現実的でない」と取り合わぬ構えだが、核兵器が全人類を滅亡に導く“魔物”であることは明らかだ。核兵器禁止条約の採択に続くICANへのノーベル平和賞授賞は、核廃絶運動を勇気づける力となるだろう。

ノーベル賞委員会は「今年の平和賞は、核軍縮に取り組む全ての人に捧げるものだ。地球上の全人類のために、核なき世界実現を目指したい」と強調している。

ICANは2007年にオーストラリアで発足した。メンバーは20代から40代。スウェーデン生まれの女性のベアトリス・フィン事務局長によると、被爆者の話を聞くことからスタートした。戦争を知らぬ世代が体験談を聞いて“頓悟”したわけだ。12月10日の授賞式には、被爆者と共に出席したいという。