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ロヒンギャ問題 迫害続く難民支援が急務

2017年11月22日付 中外日報(社説)

ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャの難民流出が止まらない。政府の迫害を逃れ、隣国バングラデシュに避難するロヒンギャ難民はこの2カ月半で60万人を超えた。国連機関やNGOは人道の危機として国際社会に緊急支援を訴えている。

8月下旬、ミャンマー西部ラカイン州でロヒンギャの武装勢力とミャンマーの治安部隊が衝突した。これを機に治安部隊は過剰な掃討作戦を展開。ロヒンギャは続々と隣国に逃れ、衣食住もままならない劣悪な環境での生活を強いられている。

国連安全保障理事会は6日、ミャンマー治安部隊などによる殺害、性的暴行、焼き討ち等の人権侵害に「深刻な懸念」を表明。ミャンマー政府にこれ以上、軍事力を行使することをやめ、難民の帰還を支援するよう求める議長声明を採択した。

ロヒンギャはインドのベンガル地方を古里とし、イギリスの植民地政策の下で現在の地に移住した人々だ。イスラム教を信仰し、仏教徒が約9割を占めるミャンマーで根強い差別を受けてきた。ミャンマー政府はロヒンギャをバングラデシュからの「不法移民」とし、国籍も与えていない。

国際社会はロヒンギャ問題の解決に向け、政府の事実上のトップ、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相の指導力発揮を求めている。しかし国内の圧倒的な反ロヒンギャの世論や、今も影響力を持つ軍との関係で難しい舵取りを迫られており、スー・チー氏一人に責任を負わせるのは現実的な解決策として無理がある。

10月にスイス・ジュネーブで開かれた国連の支援国会合で、日本をはじめ参加各国・組織は日本円で約390億円の拠出を決めた。いま最優先すべきは国際社会が一致して人道援助に当たり、難民の流出防止と帰還に向けた明確な対応をミャンマー政府に求めることだろう。

ロヒンギャ難民の多くが女性や子供、高齢者とされる。急激な難民の増加で避難先のキャンプは食糧、水が極度に不足している。野宿する人も多く、健康リスクの高まりが懸念されている。

宗教界でも支援の動きが始まった。立正佼成会バングラデシュ教会は同会一食平和基金やWCRP(世界宗教者平和会議)国際委員会からの支援金を受けて毛布などを提供。同国際委員会とバングラデシュ委員会は食糧や飲料水、衣類、薬品類など物資の配布を進めており、日本委員会は関係教団に緊急の勧募を呼び掛けている。支援の広がりを望みたい。