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宗教法人の不正利用 宗門の自律・自浄問われる

2017年11月24日付 中外日報(社説)

宗教団体や宗教家を名乗る人物が関係する不祥事は後を絶たない。最近も大阪市で宗教法人が所有するビル型納骨堂に関して脱税が摘発され、納骨堂を運営する社長が逮捕される事件が起きた。この納骨堂はテレビのCMでもよく知られていただけに、「宗教法人の悪用」という世間の悪しきイメージがさらに重なってしまった。

大阪のビル型納骨堂といえば何年か前、市がいったん許可した建設計画を取り消すということがあった。業者任せで過大な規模の納骨堂計画について地元で疑問の声が上がり、宗派が調査した結果、宗制違反が発覚。高齢の住職が解任され、後任の特命兼務住職が建設許可廃止を市に求めたためだ。

計画破綻で、事業を推進した大手墓苑業者は、この寺や包括法人の宗派に億単位の損害賠償金を請求。地裁では宗派側が勝訴し、控訴審において請求額の約7分の1の解決金で和解が成立している。

この事案では、脱税など国法に抵触した行為があったわけではない。仮にビル納骨堂が建設されていても、恐らく適法に運営されていただろう。あくまでも、宗派の立場で「寺院の不正な利用」を阻止するため行われた懲戒処分から派生した民事訴訟だった。

昨年には、被包括法人が開運商法に関与しないための「適切な措置を怠った」として、包括法人に対し損害賠償を提訴する事件があった。被包括法人の行為に関し、宗派に「共同不法行為」の責任を問うた訴訟は初であるという。

本末関係にはそれぞれの宗派によって大きく異なる歴史的背景があり、包括・被包括関係の実態も様々だ。同じ行為に対しAの教団で懲戒処分が適用できても、Bの宗派で適用できるとは限らない。果たして、包括団体の監督責任という同一の基準で裁けるだろうか。ただし、「共同不法行為」の是非はともかく、注意喚起ということならば、確かに意味はあると思われる。

宗教団体や宗教そのものに対する社会的信頼度が、昔と比べ低下してきたことは否定できない。その中で、宗門の看板を背にして行われる不正行為は、伝統教団に対する世間の信頼を裏切り、信用をさらに大きく傷つける。

同信同行の組織であり、共益団体という側面も持つ包括法人として、風当たりが強まる中でどのように宗門としての自律を保っていくか。これは極めて重い課題である。宗派の懲戒規定自体、現在の社会環境に照らして見直す必要があるのではないか。規定の運用についてもこれまでより厳しい判断が迫られることになろう。