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増える孤立死 社会全体で受け止めを

2017年12月20日付 中外日報(社説)

誰にも看取られず自宅で一人亡くなる孤立死(孤独死)が増えている。高齢社会が急速に進展する中、今後も増加は不可避とみられ、一人一人が身近な問題として考える時に来たといえよう。

孤立死は高度成長期の1970年代に「都市部の孤独」として注目され始めた。古くて新しい問題だが、今も明確な定義はなく全国規模の調査や統計も存在しない。

東京23区の統計をまとめている東京都監察医務院のデータによると23区内の65歳以上の孤立死者数は2015年に3127人で、1860人だった05年に比べ約1・7倍増えた。最近の新聞社の調査では昨年1年間の孤立死者数は23区と19道県で約1万7千人に上り、全国の死者数を約4万6千人と計算している。

阪神・淡路大震災の仮設住宅や千葉県松戸市の常盤平団地での孤立死が報じられた2000年前後から、各自治体は高齢者宅の見回り、見守りを始め、郵便やライフライン事業者と連携して安否確認をするなど対策を強化してきた。

こうした取り組みは住民の孤立化防止に一定の役割を果たす一方で、マンパワーの不足や町の自治会の機能低下、プライバシーの壁などがあり、まだまだ不十分との声も聞かれる。

日本の高齢者は地域コミュニティーとの関わりが欧米などと比べて希薄な点も指摘されている。日本と米国、ドイツ、スウェーデンの60歳以上を対象に、近所の人との付き合い方を尋ねた15年の内閣府の調査によると、相談事があった時に相談する・される、病気の時に助け合うと答えた割合はいずれも日本が最低だった。

これまで主に高齢者の問題と考えられてきた孤立死は近年、20~50代の「現役世代」にも広がってきた。背景には家族を持たない一人暮らしの増加、親との関係、非正規雇用の増加等による会社との関係の希薄化などがあると指摘されている。

現役世代に対する訪問や見守り支援は現状ではほぼ手付かずで、孤立状態であっても発見は難しく、孤立死が広がる可能性があると専門家は警鐘を鳴らす。どのように把握し、どういう手だてを講じるのか対策が急がれる。

独りで生きてきた人が独りで死ぬことは何も悪いことではないという見方もある。しかし支援が必要な人を見過ごし、放置することを許す社会であってはなるまい。孤立した人たちの命と人生をいかに社会全体が受け止め、接点を結ぶことができるのか。地域の中で、人々との交わりの中で宗教者の果たす役割は大きい。