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進む人口減少 地道な布教教化こそ

2018年6月22日付 中外日報(社説)

国立社会保障・人口問題研究所はこのほど「日本の地域別将来推計人口」を公表した。2015年と比べ、30年後の45年に総人口は2067万人減の1億642万人になり、東京一極集中や少子高齢化がさらに加速する傾向が浮き彫りになった。

45年の総人口は、東京都を除く全ての道府県で15年を下回る。減少率最大は秋田県で41・2%。東京都は15年との比較で0・7%増だが、2030年には人口が減少に転じるという。

人口減は地方がより深刻だ。市区町村別で全体の94・4%に当たる1588の自治体で人口が減り、4割以上減る所は40・9%の688自治体に上る。奈良県川上村の減少率が79・4%で最も大きく、7割を超える自治体は少なくない。

一方、高齢化率(65歳以上が占める割合)5割以上の市区町村は、15年に15(全体の0・9%)だったが、45年には465(同27・6%)に増加する。

高野山金剛峯寺の地元、和歌山県高野町も人口減に歯止めがかからない。1965年に9千人を超えていた人口は今年4月末現在で3107人。2045年は1206人になると予測され、減少率64%は山麓の九度山町と共に県内最大だ。

人口減で町が衰退すると生活水準の維持や宗教活動も困難になる。中西啓寶・高野山真言宗管長はかつて、宗会垂示で「高野山に(平安中期のような)荒廃の時代が来るのではないか」と危機感を述べ、宗団として対策の必要性を訴えた。

地域社会の活力をどのように維持していくのか。既に過疎地の自治体や公共機関のサービスが、担い手や財源不足で廃止・縮小を余儀なくされつつある。地域や町の在り方そのものが問われており、居住地域や商業施設を街の中心部に集約するコンパクトシティーなど様々な試みが模索されている。行政の対応はもちろんだが、住民の努力が大切だ。宗教者も知恵を絞り、それぞれの地域で住民と共に町の将来像を描いてほしい。

人口減時代へ宗教界も組織の存続を懸けた取り組みが求められる。過疎対策など既に議論は進んでいるが、突き詰めればそれぞれの教えを伝え広める、そのための人材を養成するという原点に帰着するのではないか。

町の姿がどのように変わろうと、そこに人がいる限り、布教教化の意義は変わらない。組織の維持・強化の方策と共に、行学二道の地道な実践で危機の時代を切り開いてほしい。