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2018年問題 大学での宗門後継者教育とは

2018年10月3日付 中外日報(社説)

大学は「2018年問題」に直面している。学齢人口の減少がはっきり表れ、それまで18歳人口の目減りを補ってきた大学進学率の上昇も頭打ちだ。定員割れの大学が増え、学園経営を深刻に脅かす。

このような事態ははるか昔から予想されていた。1973年をピークとする第2次ベビーブーム以降、出生児数は低下の一途で、団塊ジュニアと呼ばれたこの世代が大学進学時期を迎えた1990年代以降、宗門系大学でも対策を検討し始めた所もある。

しかし、86年から92年までの「ゴールデンセブン(受験業界にとっての)」といわれた時代の感覚は拭いきれなかったのか、大学進学率の上昇もあって、学園の経営で「大学冬の時代」への備えは必ずしも十分ではなかったように思われる。

飽和状態にまで大学数を増やしてきた文部科学省は今になって、経常収支が3年連続赤字の大学に対し、解散や統合など厳しい指導を行う方針を打ち出した。競争原理がさらに強く働き、淘汰されていく大学が増えるだろう。

これは、宗教系私学の設立者である教団にとって、後継者育成という宗門存続の基盤を揺るがしかねない問題である。

先ごろ、京都の大谷大で開かれた日本宗教学会学術大会では「大学内宗教者養成の歴史・制度・実態に関する調査報告」と題したパネル発表があった。神道系、仏教系、キリスト教系の各大学における神職、僧侶、聖職者養成の実態を調べ、近代以降の大学教育の一部に組み込まれた僧侶などの養成の問題点を問い直す。地味なテーマに見えるが、時代の要請に応えるものと考える。パネル責任者の江島尚俊氏ら大正大綜合仏教研究所「大学と宗教」研究会のメンバーによってすでに『近代日本の大学と宗教』などの成果も刊行されている。

同書も示すように、宗門系大学はその時々の教育行政に翻弄されるように歩み、姿も変えてきた。例えば戦前、在学生に対する徴兵猶予の特典付与は「宗教系学校を近代教育制度の枠内に収めてゆく際の強力な圧力になった」(江島、同書)。宗門学徒の教育カリキュラムが質的に変化を迫られた、というような事情がある。

後継者養成系の学部学科も、総合大学の一部として「冬の時代」を共に乗り切ることを求められている。その状況を顧みると、「大学」という制度の中に組み込まれた宗教専門職育成を、原理的に整理し直す必要があると思われる。今や、そのような時期に来ているのだ。