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ジェンダー問題の認識 伝統重視の宗教界と女性

2018年11月21日付 中外日報(社説)

国際社会調査プログラム(ISSP)という国際的な調査プロジェクトがある。1985年に第1回の調査が行われ、以後毎年いろいろなテーマでの調査を実施し、国際比較をしている。日本も93年から参加している。

2012年は「家族・仕事・性別役割」がテーマで、性別役割について4回目の調査がなされた。その中に男性と女性の収入を比較した興味深い調査がある。調査参加国のうちの有効なデータでの比較であるが、配偶者のいる男性と女性について女性の方が配偶者よりも収入が多い割合は、31国中、日本は最下位の6%であった。

最も多いスイスが41%で、米国26%、西ドイツ19%、フランス17%。韓国と中国は13%と日本のほぼ2倍である。フィリピンが11%、トルコが10%と日本より少し多い。日本では少し前までは男性が外で働き、女性は家庭を守るというような観念が広く行き渡っていたが、まだその観念が実は支配的なのではないかと思わせる数字である。

日本で女性が選挙権を得たのは戦後の1945年。男女雇用機会均等法制定が85年、男女共同参画社会基本法の公布が99年である。だが法的な面での変革があっても、人々のジェンダー問題についての認知の在り方が変わるまで、それなりの時間を要する。

では宗教界で女性の宗教家、教師の割合はどうだろうか。これは神社神道、仏教宗派と新宗教とではかなり様相が異なる。女性神職が誕生したのは戦後だが、神社界や仏教宗派においては女性の神職や僧侶の割合は低い。平成29年版『宗教年鑑』のデータでは、神社本庁傘下の神社全体では16%、仏教宗派は多くて14%、少ないところは3%程度である。

他方、新宗教教団の一部には、女性教師の割合が5割以上のところさえある。真如苑の81%、立正佼成会の77%、天理教の61%などが代表的である。

単純に女性の神職や僧侶、教師の比率が増えればいいという話ではない。例えば、女性神職が氏子や参拝者から巫女と間違われたという体験談をよく聞く。女性神職とは思いも寄らないらしい。女性の宗教家の存在に対する社会の認識のありようが、現状のままでいいのかということでもある。

宗教界は伝統が重視されるのが常だが、それが価値ある伝統継承と受け止められるか、単なる因襲と受け止められるかが肝心なところである。現実の日本社会のありようを見つめ直す上で、冒頭のような国際比較のデータは非常に重い提言の役割を果たしている。