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補助金と協力支援 宗教と行政の好ましい関係

2018年11月23日付 中外日報(社説)

先に相次いだ台風で各地の寺社にも被害が出、境内の倒木などで祭礼が中止されたケースもある。これを受け市内に寺社の多い京都市が、伽藍など建物が市の指定・登録文化財になっている寺社を対象に倒木の撤去費用を補助する制度を始める。従来は文化財建造物の修理費に限定していたが、寺社が地域に密着しており、倒木の拝観への支障を配慮したという。

大いに評価すべき判断であり、同市は元々、例えば祇園祭などの宗教的行事に関してもかなりの補助を出してきた。ただし、これらは「文化財」という枠組みの中での話であり、同じ京都市が眺望景観創生条例の改正によって「近景デザイン保全区域」に指定された地域の寺社建築物の新増築の規制を強化し、届け出の際に専門家の助言を義務付ける「事前協議制度」を10月から施行した。

他方、東日本大震災では壊滅した寺院墓地の復旧に関し、流出した墓石撤去や通路の整備に「地域復興」の名目で公費が支出された例などがある。各地で宗教施設の復興と政教分離との関係が論議になったが、文化財への補助も墓地などへの間接的支援も、納税者には「宗教自体への援助ではない」と政教分離の原則を踏まえていることを表明できる一方、寺社側にとっては「名目」はともかく信仰活動の一端が公的に支えられたと受け取ることができる。

一見「玉虫色」のようだが、要は宗教施設、宗教関係団体であっても社会に対して公共的な意義のあることをしておれば、行政もその公益性に配慮せざるを得ないということだ。半面、寺院の納骨堂を「貸倉庫業」として課税しようとするなどの例もある。「宗教行為」自体を評価することができない以上、そのような「公益性」が尺度になるのだが、もちろん「宗教性」が行政に評価されるなどということは論外だし、宗教団体の活動の全ての面で行政に公益性の判断を仰ぐ必要もない。

ただ、例えば野宿者・貧困者や地域で暮らしにくい人々の生活支援や、被虐待児の保護、自死防止の相談といった活動を宗教的信念に基づいて行っている宗教者たちが、行政と密接に協力し合っている事例はいくらでもある。例を挙げれば、身寄りのない人が孤立死した際の葬儀や供養を生活保護制度を活用して寺で行うなどがそうだ。これらは社会的公益性を論議するまでもないケースであり、その多くが行政側からではなく、宗教者側からタイアップが申し入れられている。要は、行政を引き込んでまで意義のある取り組みをする気があるかどうかだ。