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グローバルな変化 冷静に見つめるべき現実

2018年12月21日付 中外日報(社説)

1月に元オウム真理教信者・高橋克也被告の無期懲役判決が確定して、オウム関連裁判が全て終了した。これに関係すると考えられるが、教祖であった麻原彰晃(本名松本智津夫)ら13人の死刑執行が7月になされた。

13人もの死刑が執行されたことでオウム事件が改めて議論された。死刑制度そのものへの議論が特に目立った。一方で、事件が起こった社会的背景にまで踏み込むものは少なかった。死刑執行が「事件を忘れ去ることの始まり」になってしまってはならない。

オウム問題に関しては、宗教関係者が自分たちとは別世界のことと見なす傾向がある。宗教研究者が、実証的な研究を顧みず、もっぱら自説の主張に終始する例も見られる。こうした姿勢は事件を深く考察する道にはつながらない。

6月28日にバチカンで、前田万葉大司教を新たに枢機卿とする叙任式が行われた。日本人で6人目の枢機卿となる。バチカンと中国との関係は良好とは言い難い。日本の枢機卿が果たす国際的な役割というものも期待される。

同月30日には、ユネスコの世界遺産委員会で「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界文化遺産登録が決定した。国内の世界文化遺産登録は18件目である。昨今は宗教施設などが世界遺産に登録されると、地域活性化とか観光資源として注目されがちである。しかし宗教関係者にとっては歴史的出来事を現代的視点から再考するきっかけともなる。

国外の宗教関連の出来事をつぶさに見ていくと、日本の宗教界が、女性の社会的地位、ジェンダー問題を考える際に、世界的視野を持つことの必要性を強く感じさせる事柄が幾つかあった。5月12日には英国国教会ロンドン主教に初めて女性が選任され、その就任式がセントポール大聖堂で開かれた。国教会は少しずつ女性聖職者への道を広げてきている。

10月2日にジャマル・カショギ記者が、トルコのサウジアラビア総領事館で殺害された事件が起こり、サウジアラビアは世界各国から厳しい視線を浴びている。そのサウジアラビアでも、女性の地位は少しずつ改善されている。

4月18日にサウジアラビアの首都リヤドで、35年ぶりに映画館が解禁され、映画館での男女一緒の鑑賞が可能になった。6月24日には、これまで唯一女性による車の運転が禁止されてきた同国で女性の運転が解禁されている。

世界の変化は激しく、グローバルに相互影響をもたらす。日本の宗教界はそこから目をそらしてはいけない。