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宗教の可能性 平和への貢献強める年に

2019年1月1日付 中外日報(社説)

100年前の1919年は、インドでガンジーが非暴力抵抗運動を始めた年である。同年に朝鮮半島では三・一運動が、中国では五・四運動が起きている。第1次世界大戦終結後のベルサイユ講和条約も締結された。世界は平和の方向に進み、暴力的な植民地支配への抵抗の運動が大きく前進した。

その後の100年を振り返ると、第2次世界大戦を経て、植民地諸地域の独立が進み、国際連合ができて国際平和へと大きく前進したかに見える。とはいっても、第2次世界大戦後の40年余りは核武装を背景とした厳しい冷戦の時代だった。89年にベルリンの壁が壊され、やがてソビエト連邦が崩壊して冷戦の時代が終わったように思われたが、90年の湾岸戦争以来、世界は新たな戦争と覇権争いの時代に戻ったかに見える。

ガンジーが目指した平和と自立と融和への動きはどうか。必ずしも自信を持って「人類は平和に向かって前進している」とは言えないだろう。グローバル化が進み世界諸地域の距離感は大いに縮まった。だが、国家間対立は今も各地で緊張をもたらしている。それに勝るとも劣らず危ういのは、宗教や民族を基盤とした対立だ。

さらに、グローバルな企業と経済組織、国家の利益追求と結び付いた科学技術の展開が、人類の福祉に一致するかどうか恐れられている。2018年には、ゲノム編集などのバイオ技術の発展や人工知能(AI)の革新が何をもたらすのかが盛んに問われた。これらの技術は当面の企業利益にはつながるが、人類の生活の在り方を大きく変えてしまう可能性もある。それが人類の福祉に貢献するかどうかは分からない。核(原子力)のように巨大な災厄の要因となるかもしれず、どう制御すればよいのか、人類社会は戸惑っている。

人類はどこへ向かっていくのだろうか。より平和でより安定した世界への希望はどこに見られるか。この問いに答えようとするとき、宗教の行方が注目される。冷戦以後の時代、宗教が戦争やテロや暴力の大きな要因として浮上してきた。平和に向かう力となるどころか、平和を脅かす要因として恐れられるようになっている。

しかし、ガンジーが宗教を土台に平和を求めようとしたように、宗教は平和に向かう力となる豊かな可能性も持つ。グローバル化は宗教間の協力や対話の機会をも増大させてきた。日本の宗教団体や宗教者は宗教間の協力や対話に積極的に取り組んでいる。2019年は日本の宗教が、平和への貢献をいっそう強める新たな展開の一年となることを期待する。