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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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東日本大震災教団アンケート

心のケア ―― 「次の段階」支援の課題に

2012年9月8日付 中外日報

東日本大震災の被災者支援の中でも「心のケア」は、昨年9月の震災半年の「教団アンケート」でも各教団が「力を入れる」と答えたもので、今回の調査でも多彩な対応が見られた。

18全ての教団が何らかの取り組みをしていると回答。その中心部分は、被災した人々の悩みなどを聞く「傾聴」だが、そのように対話が成立する被災者との「人間関係」を築くためにいろんな試みがある。

最も多いのはやはり、東北地方に以前から生活の風習としてある「お茶会」、つまりお茶やコーヒーを出して話す場を設けるもので、「呈茶」(臨済宗妙心寺派)、「行茶」(曹洞宗)、「お茶っこサロン」(カトリック教会ほか)や「カフェ」など名前も内容もバラエティーに富み、他に天台宗、真如苑など計11教団が挙げた。

並行して「炊き出し」や「バーベキュー」をするケースも多く、こうした集まりへの参加呼び掛けを兼ね、孤立しがちな仮設住民を個別訪問して見守る活動(立正佼成会ほか)も見られる。

同様に仮設住宅での行事としてコンサート(妙心寺派)や夏祭り(金光教、天理教)といったもの、一対一で湯を使いながら話をする「足湯」(高野山真言宗、真宗大谷派ほか)などもある。

これらは、閉じこもりがちな仮設などの住民に集まってもらい、楽しんで会話をする中から悩みや心配事を打ち明けてもらう趣旨。催し自体も気晴らしになり、「住民相互のつながりに役立つ」との声も大きい。

中でも、話しやすい環境、関係づくりの意義が強調されるのは、当初、宗教者や心理療法の専門家も含めて多くの「心のケア」支援が入る中で、「見知らぬ人にいきなり『困っていることは何ですか』と聞かれ戸惑う」という指摘が多かったからだ。

だが震災から1年以上を経て、「いつまでも世間話に終わってはいけないのでは」「具体的な心配事に対応する仕組み、生活支援が大事」「ただ聞くだけでなく、宗教者としては『救い』を語る必要がある」といった課題を挙げる声が特に現場では強い。

特に、宗教者が行う意義を問う論議も起きているが、回答の中には「一緒に念珠作り」(真言宗智山派)のように「宗教らしさ」を出す取り組みもある。傾聴とは別に、犠牲者慰霊などの「法要」を「心のケア」として挙げたのが5教団。

これも、宗教的活動の意義、そもそも「心をケアする」とは何かという今後の真剣な掘り下げが求められよう。

仮設住宅での対応とは別に、特に福島などから子供たちを中心に被災地外に招待し「キャンプ」などをする試みも。高野山真言宗では本山で「森林セラピー」をしており、これらは「言葉」での対応よりまず「癒やし」を提供するものとみられる。

次に「心のケア」を実施する教団の体制では、本山・本部と現地の両方に災害対応の専門部局と事務所とを拠点として置いているのが浄土宗や浄土真宗本願寺派など。真如苑や高野山真言宗はプロジェクトとして組織化している。智山派はこれを「教化センター」の所管に位置付け、日本基督教団は現地では社会福祉協議会と一体となって取り組む。

従来大きな課題に挙げられているのが、ケアをする側の技量、能力の問題。妙心寺派や大谷派、真言宗豊山派など多くの教団が所属する教師らの研修を進めており、一般ボランティア向けも含めて被災地で研修会を開く例も見られる。

天理教、カトリック教会、創価学会は、ケアの専門的知識を持った人材を派遣することを取り組みとして挙げており、一方、日本基督教団が「素人のボランティアに対してでなければ語れないこともある」との意見を紹介しているのも注目される。真如苑は、ボランティアへの「心のケア」の必要性を示した。

では「心のケア」の姿勢や位置付けについて各教団はどう捉えるか。

「(被災者と)直接対話の機会を増やしていくことが心のケアにつながる」(智山派)、「これまでの活動を通して関係を構築できた方々と引き続き交流によって初めて悩みや思いを話していただける」(大谷派)のほか、日蓮宗は「(瓦礫撤去なども含めた)物心両面にわたる支援」を強調した。

また「宗教的意義」については、天台宗は法要自体の意義を重視、高野山真言宗は「弘法大師の御誓願」を体するとし、カトリック教会は「キリストが身をもって示した生き方である、寄り添うこと、共に居ることを基本姿勢とする」との趣旨を回答した。

天理教、金光教はそれぞれ活動を、神のはからいや恩への感謝、「喜び」として明確に位置付けている。