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東日本大震災教団アンケート

復興支援 ―― 教団の枠を超える支援策

2012年9月11日付 中外日報

未曾有の大災害となった東日本大震災がもたらした被害は17年前に阪神・淡路大震災を経験した各教団の災害対策の想定を超え、各教団が被災した寺院・神社・教会・支部や信者らを救済するために特別予算を編成、既存の復興資金の貸付制度の改定や新たに災害対策・復興支援の法規を制定するなどして対応に当たり、既存の災害対応のマニュアルの見直しも進めている。

特に被災地に多くの寺院・神社・教会・支部を抱える教団では、大型の特別予算の編成(臨済宗妙心寺派15億円、天台宗6億円など)や、災害復興対策貸付金の増額(曹洞宗)、見舞金等の支給制度の拡充(創価学会)、各寺院から災害救援基金の臨時徴収(日蓮宗)などを行った。

支援の中心は、義援金、支援金、救援金、見舞金などの支給、宗費・負担金の減免、共済制度の活用、そして復興資金の貸し付けなどだ。

復興資金の貸し付けは多くの教団が原則として無利子で、上限は3千万円程度に設定している。天理教は被災した教会が復興資金の銀行融資を受ける際に教会本部が保証を行っている。

被災した寺院・神社・教会・支部や信徒が義援金などの主な支給対象だが、日蓮宗、妙心寺派は避難所となった寺院にも支給し、金光教、カトリック教会、浄土宗、浄土真宗本願寺派などは被災地で救援・支援活動を行うボランティア団体などに活動資金を支給している。

浄土宗は被災寺院の本尊護持を目的に被災状況に応じて「護持料」を配布、妙心寺派や天台宗は被災した信徒に簡易仏壇を送り、曹洞宗は被災寺院の法務再開のためプレハブのユニットハウスを提供するなど、「宗教」に特化した対策に取り組んでいる教団も少なくない。

神社本庁は、被災した神社の神職後継者を支援するため、國學院大、皇學館大や各地の神職養成機関の神職資格取得課程の入学者に就学助成金を交付。高野山真言宗は寺院子弟に限らず広く一般の高校生、大学生も対象とした奨学金制度と特別奨学金制度を今年に新設した。

今回の大震災の復興には20年、30年といった長い時間がかかるとされているが、これらは今後の復興の担い手となる若い世代を視野に入れた支援策と言えよう。

また各教団は、岩手、宮城、福島の被災3県に義援金を届けるなど教団の枠を超えて被災者、被災地を支援。カトリックのようにカキやわかめの養殖業など地場産業や地元商店街の復興を支援している所も。

本紙が震災から1年を迎えるのに合わせ行った「被災地アンケート」では、物的・人的支援も含めた教団の支援に対し約7割が「十分」「まあまあ十分」と回答。「心から感謝している」「つながりの大切さをあらためて認識した」などの声が寄せられた。

各教団は募金などで数十億~数億円の支援財源となる義援金、支援金や見舞金を集めたが、被災状況が教団によって異なるため、支給額にはかなりの"格差"が生じている。

教団の支援に対して「あまり十分でない」との回答が21・7%、「まったく十分でない」との回答も3・3%で、「他宗派のように末寺に呼びかけて被災寺院支援の募金をもっとしないのか」「募金はありがたいが、その執行が遅い」など批判的な意見もあり、信頼関係の回復が今後の課題となっている教団もある。

また今後の課題としては、多くの教団が既存の災害対策・防災のマニュアルや災害対策の組織の見直し、そして新たなマニュアルの作成、組織の設置が必要との認識を示している。

曹洞宗、本願寺派、高野山真言宗、真言宗豊山派、金光教、立正佼成会などが現在のマニュアルの見直しを行うと回答。日蓮宗は今後の災害に特化した委員会を設置し、真言宗智山派は災害時の地域支援の在り方も含むマニュアルを災害対策室で作成中。

浄土宗は、災害時の被害を最小限に抑えることを目的とした「減災の手引き」を作り全寺院に配布。真如苑は既存の対応指針に加え、帰宅困難者が発生した場合の対応や、行政や自治会からの一時避難所の指定要請を受け入れる項目などを新たに追加し、首都圏直下型地震に対しても別途対応マニュアルを作成した。

創価学会も今回の大震災を機にマニュアルを作成し、災害規模に応じて連絡経路、管理体制、職員の行動原則などを細かく定めている。

本願寺派は全ての宗門人参画のもとに取り組む「御同朋の社会をめざす運動」(実践運動)の指針となる重点プロジェクトで宗務所挙げて災害支援に取り組む方針を打ち出し、また大谷派も6月の臨時宗会で条例を制定して災害対策を宗派の重要な活動として明確化するなど、両派のように今回の大震災を機に宗務の在り方を問い直した教団もある。