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祖父の「嘘つくな」胸に

本門法華宗第20代管長 大本山妙蓮寺第121世貫首 別所日山さん(76)

2017年11月22日付 中外日報(ひと)

別所日山さん

祖父は本門法華宗管長で大本山妙蓮寺第77世貫首の日大上人。14人の孫のうち男子で最年長だったことから「引っこ抜かれて」僧侶に。お経を少しでも間違うと扇子でパチンとたたかれた。

5歳の頃から祖父のお伴をして講席に出ていたが、すぐには僧侶の道には進まず、東京学芸大を卒業後、東京都の公立小学校の教員になった。

60歳で得度した日大上人は「僧俗一体在家主義信行」を貫いた人で、「お寺の上がりで飯を食うな。自分の食い扶持は自分で稼ぎ、きちんとご信心と僧侶をやれ」と諭されたからだ。

約30年に及ぶ教員生活を通して真剣に教育、教師の在り方とは何かを問い続け、障害のある子がみんなと一緒に学ぶことができる学校・学級づくりに心を砕いた。

サリドマイドの薬害で障害を負った子が運動会でみんなに抜かれながらも諦めずに最後まで走り切った時、感動のあまりその子を抱き締めた。「親もうれしかっただろうが、僕も……」と振り返りながら目を潤ませた。

大学時代は60年安保の真っただ中。仲間を率いてデモに参加し、東大生の樺美智子さんが圧死した現場近くにいた。

「平和を願い、やむにやまれぬ思いでデモに参加した樺さんがなぜ」。その憤りが、平和の問題、命の問題は僧侶として取り組むべき重要な課題であるとの信念のベースとなっている。

日蓮聖人、法華経の教えを「嘘をつくな」の一言に凝縮し伝えてくれた祖父の面影を慕いつつ、「妙蓮寺をご信心繋がりの場の中心にしたい」と願う。

(西谷明彦)