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門徒の存在 常に感じて

真宗大谷派教学研究所長 楠信生さん(67)

2017年11月24日付 中外日報(ひと)

楠信生さん

北海道教区の若手僧侶の育成機関・北海道教学研究所長や、教学研究所の教化伝道研修第2期研修長などを経て8月に就任。「教学研究所は大学の研究所とは違う。常にご門徒の存在を感じながら研究を発展させてほしい」と願う。

特に影響を受けたのは仲野良俊・元教学研究所長。北海道教学研究所の第1期生だった1974~76年当時の同研究所長で、「叱られて、叱られて。特に小ざかしさに対する厳しさがあった」と振り返る。

「私は大谷大でインド学を専攻した関係でサンスクリット文献を重んじる思いがあったが、『君は漢文の経典を軽く見ているのではないか。宗祖は漢文で学ばれたことを忘れてはならない』と強く諭された」

仲野氏に一貫していたのは、「学者ではなく、念仏者を育てる」ことだったとし、「私もその姿勢を大切にしたい」と語る。

現代は人々の「宗教離れ」が指摘される。しかし「人間は宗教的存在。自らの存在の意味を確信できなければ生きていけない。同窓会に行くと、定年を迎えた同窓生から寺や僧侶のことをよく聞かれる。みんな何かを求めていることは確か。我々僧侶はそれを肚に据え、まず自分自身が救われる言葉や道を求める姿を示していく必要がある」と言う。

「人材」に目に見える成果が求められる時代でもあるが、「真宗が言う『役に立つ』は例えば、自分の言いたいことを明確な言葉にできない人の力になるよう教えを伝えることだと思う。成果を求めるような上昇志向の中で生きると、陰の部分をつくってしまう」と考えている。

(池田圭)