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有縁の人とともに歩む

真宗佛光寺派第33代門主 渋谷真覚さん(37)

2018年4月4日付 中外日報(ひと)

渋谷真覚さん

門主後継者への就任が決まった2年前から習い始めた習字が、この半年で一気に上達した。「筆勢がのびやかで力強くなられた」と話す佐々木亮一宗務総長は、「門主就任に向けた様々な学びへの自信の高まりが感じられる」と目を細める。

真承・第30代門主の長男として出生。母の実家である宮崎県の浄土真宗本願寺派寺院で育ち、仏事にも親しんだ。ただ「当時は人生設計にお寺も僧侶も全くなかった」

思春期には人間関係に悩み、中学では不登校になったことも。「人が信用できなくなり、自殺すら考えた」。その後も人生への悩みは尽きなかったが、2013年の父の死が転機になった。

「自分でも理由は分からないが、仏法を聞かねばとガラッと変わった」。仏法を学ぶため、15年に本願寺派中央仏教学院に入学した。門主後継者への就任を打診された当初は固辞したが、受諾を決心したのは「仏法に出遇えた感動や喜びを一人でも多くの人に伝えたい」との思いだった。

背景には、不登校などの苦悩を自らの力で克服してきたと考えていた頑なな自分が、仏法を通して変わったという実感がある。「あらゆる縁によって育てられてきたことに気付かされた。人になじめなかったのは、相手になじみにくい人間だと思われていたからなのかもしれない。つらい思い出も、今はありがたいことだったと言える」

目指す門主像は手探りだが、有縁の人々と「ともに」歩みたいと願う。「私は不器用で、何か得意なことがあるわけでもない。しかし、皆さんの話を聞き、思いを共有することはできる」と考えている。

(池田圭)